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「城塞の迷宮」《Symphony No.70》

ハイドン 交響曲 第70番 ニ長調 Hob.I:70 1779年

ハイドンの色々な交響曲がある中で70番はどうみても一風変わっている。何かが違う。何だろう🤔音の勢いより重みの方が上と感じるからだろうか。確かに第1楽章から重い、重い。🪨塊感がある。🪨とてもシリアスだ。石造りの城塞の通路を歩いている感じだ。いくら進んでも景色は変わらない。ずっと同じ石造りの天井に、壁に、装飾の無い扉と暗い蝋燭。迷路みたい⁈

これほどシリアスな第2楽章は他にあるだろうか。二重対位法のカノンと言うらしい。難しいことは、さておき。石造りの迷路に入ってしまったようだ。この不気味な静けさが背後に恐怖を生む。誰か見ているのでは?何か気配がある?もう進んでいるのか戻っているのかもわからない。迷宮に入り込んでしまった!出口はどこだ!入口はどこだ!ひたすら同じ景色が続く…🪞👁

光が見えた第3楽章!☀️あそこだ!光の方へ向かっていくのだ。さあ駆け出して行く、優しい光が差し込んでいる先へ。どれほど光が恋しかっただろう。暗い蝋燭ではあまりにも寂しかった。もう少しの辛抱だ。光よ、待っていておくれ!近づくたび己へのファンファーレが響く。もっと光を!

光よ!お前の目的はなんなのだ!なんだ、何かの気配に気づいた第4楽章。早くこの場から脱出しなければ。追われる!何かに追われる!追いつかれる!光は己を追いつめる者だったのか。この場には希望の光など無かったのだ。己を追いつめる不気味な閃光でしかなかったのだ。逃げろ!姿を隠せ!脱出しろ!次の門を曲がれ!奴から逃れろ!伏せろ!どうだ、逃げ切れたか…まだ追ってくる!曲がれ、伏せろ、駆けろ!どうだ、今度こそ…   
…?!


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