Go To Travelのコロナ感染拡大への影響に関する英語論文について 京都大学機構論文の要約と解説

京都大学から、Go To Travelが、コロナの感染拡大にどの程度寄与しているかという論文が発表されました。

https://www.mdpi.com/2077-0383/10/3/398/htm
Go To Travel” Campaign and Travel-Associated Coronavirus Disease 2019 Cases: A Descriptive Analysis, July–August 2020

コロナウイルス拡大についての考察は、こちらのページで過去にしていました。


今回の論文においてもまた中身をろくに読んでないメディアがいろいろなことを書いています。今回の記事では話題になったこの論文について、内容と考察を簡単に書いてみます。

まず、英語であるこの論文の概要を簡単に書いてみます。

Abstract
日本でのGo to travelの結果、都道府県をまたぐ移動が増え、感染拡大に寄与したものと考えられる

1. Introduction
Go To Travelというのが、2020年7月に施行され、ホテルの宿泊費の値下げとクーポンの配布がなされた。その結果、都道府県をまたぐ移動が増えた
(日本人だったらみんな知っている内容です)

2. Method
厚生労働省が発表しているコロナ感染者数の推移のデータをもとに、調査を行った。厚生労働省のデータなら、感染者が都道府県をまたぐ移動をした人なのかそうでない人なのかがわかる。調査の対象とした時期としては、Go To travelが開始となった直後である7/22~7/26の5日間。この5日間と、Go To travel開始前を比較した。

3. Result
7/22~7/26の期間のコロナウイルス感染者における都道府県をまたぐ移動をした人の割合は、7/22より前と比較して高くなっている。したがって、Go to travelはコロナウイルスの感染拡大に影響を与えている可能性がある。

4.Discussion
本研究はシンプルなモデルを前提としている。中でも、7/23~7/26は祝日を含む4連休であり、Go To travelがなくても外出する人の割合が高かったのではないかということは、noteしておく必要がある

以上が論文の内容です。上記の内容を踏まえて、私の感想ですが、まず、著者も論文の中で触れていますが、4連休を含む日を対象に分析しているというのは、かなりお粗末だと思います。先の論文の内容紹介では触れていないのですが、どうやらこの著者は8/8~8/31のデータも集めているようです(お盆という旅行ではなく帰省による都道府県をまたぐ移動が多い時期ですね。。。)私の英語読解力のせいなのか、この時期を使った分析ももっと示してほしかったのですが、特にこの時期についての言及はありませんでした。

都道府県をまたぐ移動をするような人は、仕事での会食や会議であったり、日常生活での外出も多いものと想定されます。こういった人たちの感染の本当の理由が、都道府県をまたぐ移動によるものであることは証明がされていません。

と、いったところを感じました。そうはいっても、
・コロナウイルスは人と人の接触から拡大します
・Go to travelのキャンペーンの結果、都道府県をまたぐ移動が増えました
・結果的にも、都道府県をまたぐ移動をした人の感染割合が増えています
という3つの要素は正しいはずなので、Go to travelがコロナ拡大に寄与したのか?YES OR NO!?という問いであれば、それはYESでしょう。

問題は、Go to travelが「どの程度」コロナ感染拡大に影響するかの分析ではないでしょうか。2021年もコロナとの共存が求められる中で、「どの程度」旅行という行為がコロナウイルス感染拡大につながるかを分析することが大切でしょう。私は学者ではないので具体の論は書けませんが、この「程度問題」を分析することによって、日本が政府としてコロナとの共存、コロナ下での旅行の在り方を考える根拠となるのではないでしょうか。

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