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黄砂

昔、NHKの『大黄河』という番組が大好きだった。

音楽は宗次郎さんのオカリナ。コンサートにも行ったほど。のちに何度も再放送され、それを録画してまた見た。

一滴一滴がチョロチョロとした流れとなり、次第に大きくなった黄河は10回のシリーズ最後に渤海に到達する。河岸の少数民族の生活や文化も織りまぜた『悠久』という言葉がぴったりな番組だった。


だから『黄砂』と聞くと、わたしはゴビ砂漠よりも黄河を思い浮かべる。黄砂と黄土が同じかどうか知らないけど。そのくらい、あの5000㎞にも及ぶ黄色い大河にはインパクトがあった。「黄砂が飛んでくる」なんて聞くと、壮大な中国大陸に想いを馳せたものだ。



ところがだ。昔、中国でただ『河』とよばれていた頃は、黄河は透き通っていたんだって。番組の中で言ってたかどうかは忘れちゃった。ずいぶん昔だからね。ちなみに揚子江は『江』だそうで。


かつて、黄河中流域にはアジアゾウがいた。骨が出た。そこに広大な森林があったことの証拠らしい。

やがて森林は次第に面積を狭めていった。その理由は、文明を手にした人間が、急速に木材を消費し始めたから。森林を伐採するから、表土が流れ出る。


今、わたしは山に植える苗木を育てる仕事をしている。なにかで読んで知ってから、ちょっと複雑な心境だ。黄河のあの色は森林破壊のせいだったなんて……。



北海道に黄砂が飛んできた。3日間続いた。車がとんでもなく汚くなった。山の苗木畑は途中から土の道なので、車はいつでもだいたい汚いのだが、その3日でとんでもなくなった。

こうなると、想いも馳せなくなる。仕事仲間の車も、みんな汚い。「日曜日まで洗わなくてもいいよねー」なんて、みんなで笑ってた。


日曜日。朝から雨だ。洗えない。庭で水道の水。ムリだ。


月曜日。雨でちょっとだけキレイになった車が並ぶ。

きったね!」

お互いの車を見てまた笑う。


雨や黄砂は自然現象だと思ってた。自然現象なら仕方ないと。

最近、日本に黄砂が降ることが多いのは、カシミヤヤギのせいなんだって。放牧されてるカシミヤヤギが草の根まで食べちゃって、どんどん砂漠化してるらしい。ニュースで言ってた。

そして、そのカシミヤはほぼ日本に来るんだって。ちょっと考えさせられるでしょ?わたしがカシミヤのセーターなんか持ってなくてよかった。買えなかったからだけど。


今日も朝から雨が降っている。またもう少し車、キレイになるかな?


ってか、いいかげん洗おう。



↓おととしも来てた。


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