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橋めぐり&下町散策【1】 佃大橋・相生橋・勝鬨橋 / 佃・月島

コース:銀座~佃大橋~佃・月島~相生橋~勝鬨橋~築地 (2010年5月1日)  

佃大橋を目指して

地下鉄から地上に出るとそこは銀座の目抜き通り。
ガラス張りのビルの谷間を抜けて新富町駅前の通りに出た。
通りは4車線道路だが、進むうちに中側の2車線が次第に勾配をなし、高架構造へと変わっていった。 これが佃大橋なのだろう。
それを仰ぎながら歩いているとやがて行き止まりとなり、その横に階段があった。なるほど、歩行者はここから橋にアクセスできるらしい。

階段の脇には「佃島渡船」と彫られた石碑がたっている。
説明版によると、昔ここに佃の渡しがあったそうだ。

隅田川との出会い

高層ビルやマンションが乱立する水辺の景色を見ながらゆっくりと佃大橋を渡る。これほど長い橋を歩いて渡るのは初めてだ。

アーチなどの特別な構造のないプレーンな橋だが、橋の上からの眺めは決してプレーンとは言えない。
光が水面に反射し、水は大きなうねりを見せている。なんとなく海を感じさせるうねりである。潮の臭いも微かにするような気がした。
雄大に広がる水風景は、思いのほか迫力がある。

プレーンな佃大橋と白い塔の中央大橋が重なり合っている。

佃の赤い橋

佃大橋を渡り切り、橋の上から見えた佃煮店の前まで行ってみた。
江戸時代の商店のような造りの建物は、思った通りスケッチジェニックだ。しかしスケッチより腹ごしらえ、ということで月島の商店街をまず目指す。

商店街を探しながら適当に路地を歩いていたら、小さな運河と欄干に古風な丸い飾りのある赤い橋に遭遇。
運河には数隻の小船が係留されていて、運河の向こう側にはタワーマンションがそびえ立っている。
新旧が重なり合った風景はどこか懐かしく、どこか異次元的で不思議な雰囲気を醸し出している。

月島のアーケード商店街

赤い橋を渡ってしばらく行くと月島駅が見えてきた。
駅から商店街はそう遠くないはずだと歩き進むと、あったあった、アーケード商店街が現れた。

延々と続いているように見える三角屋根のアーケード。
「3~4軒に1軒はもんじゃ焼き」と思えるほどもんじゃ焼き店がひしめいている。
そんな中、ひさしにブーランジェリーと書いてあるパン屋さんを見つけた。そこで美味しそうなカレーパンを買い、隅田川沿いでのランチと決め込んだ。

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川辺のひととき

川沿いは整備されていて所々にベンチがあるので快適だ。
青空の下、すがすがしい水の風景を堪能しながらカレーパンを食べる。

食べながら目についた黄色い漁船をスケッチしたいと思い、食後は橋の下をくぐって船の近くまで行ってみる。そばのベンチでおじさんが気持ちよさそうに昼寝をしていた。

描きたいものを見つけ、それを描けたときはウキウキ。下手でもなんでも、ウォーキングの楽しさが倍増する。

スケッチが終わるころ、地元のおばあさんがやってきて体操を始めた。通りすがりにニコっとしたら「こんにちは」と気恥ずかしそうに挨拶をしてくれた。

藤の花咲く住吉神社

川沿いから階段を上がると先ほどの佃煮屋の前に出た。
そのまま赤い橋の近くまで戻り、橋の手前で路地に入ってみる。
路地の先には住吉神社の境内があった。ここは裏門のようだが、藤棚があってちょうど藤の花が咲いていた。

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住吉神社境内内の入船稲荷神社と藤の花

<4年後再訪時> 住吉神社例祭(佃祭り)について
 スケッチ対象で有名な佃煮屋「天安」を目指して歩いていたら、大きな神輿が展示されていた。絢爛豪華な造りを感心しながらじっくりと見た後、展示場前の車よけに腰かけてひと休み。すると美しい白髪のお爺さんが「天安を描くのかい?」って聞いて来た。どうやらそういう人が頻繁に訪れるらしい。
 お神輿を見ていたの、と答えると、元々は茅場町の神輿だったのが、重くて担ぎ手が足りないということで河野さんが佃島に持って来たと教えてくれた。佃島は威勢のいいのがわんさといるとか。
 佃島の住吉神社祭は3年に1度開催され、1日目が獅子頭(雄雌3頭ずつ)、2日目が八角神輿。3日目は元々何もすることがなかったので、この神輿を貰い受けた。佃島の3町会一緒に担ぐことにした。八角神輿は2時間交代で各町会が担ぐ。
 佃島は古くからの人が多く、どんなに年寄りでも新参者は「若造」から始まり、長年住んでいると「世話役」になれるとか。
 非常に面白い話を聞かせてもらい、来年の本祭は見に来ます、と言ってお別れした。

西仲通り商店街ふたたび

もんじゃ焼きの店が多いといっても、ほとんどがアーケード通りに集中していて、それ以外の通りには昔ながらの商店もあって見どころは色々ある。

交差する通りのひとつに小さな和菓子屋さんがあった。
「アイス最中」と書いてあるのぼり旗に吸い寄せられるようにお店に近づくと、自家製の揚げ煎餅をすすめられた。1袋お土産用に買い、抹茶のアイス最中を店先のベンチで食べた。ああ~~おいしい!

和菓子店のベンチから見た店先のショーケース

ちょっと路地裏に入ると長屋建築も健在で、昭和レトロな雰囲気が楽しめる。結局アーケードの前長を歩いたほか、交差する道もすべて歩き、さらにはアーケードと並行する両側の通りも歩いた。

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レトロな路地裏

相生橋の光

商店街を出て月島駅から北東に向かって歩いていくとライトグリーンの相生橋の前に出た。
橋の上からの景色を見てみようと少しばかり橋の上を歩いてみる。

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相生橋

西に傾く太陽のやわらかな光を浴びた川が大きく広がり、あまりにも気持ちがいいので向こう側まで渡ってしまった。
渡るとそこは門前仲町、深川界隈だ。「門前仲町」という響きが何故かとても気に入り、いつかそこも散策しようと思いながらそのままUターンをし、もう一度ゆっくりと橋を渡る。

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相生橋から隅田川の上流を臨む

手づくり装飾の極小バー

橋から続く清澄通りをそのまま進むと商店街エリアに戻った。先ほどのパン屋さんのとなりのお店が扉を開けていた。
3畳ほどの小さなバーの棚にお酒のビンがぎっしりと並んでいる。ダークグリーンの木枠と手づくりの装飾品。
バーの中では若いマスターが開店準備をしている。ちょっと中を覗いていいですかと聞いたら快くOKしてくれた。

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なんとも味のある手作りアイテム

夕暮れの勝鬨橋

さあ、月島界隈は概ね見つくした。でもまだ帰るにはちょっと早いかな。どうしようかと考えながら歩いていたら交番があったので、このまま進むと何があるのか聞いてみた。
少し行くと築地の方に渡れる勝鬨橋があると教えてもらったので、そこを目指すことにした。

ちょうど夕日が沈むころに勝鬨橋に到着した。
本日3つ目の隅田川の橋。
渡る前に水際の隅田川テラスに降り、しばし暮れなずむ水辺の景色を楽しんだ。

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勝鬨橋(月島側のアーチ部分)

辺りがだいぶ暮れてきたころに勝鬨橋を渡る。
両端がアーチ構造になっていて、全体的に結構重厚な印象だが、歩きながら上を見上げるとアーチ構造の鋼材が意外とかわいい幾何学模様を描いていた。

勝鬨橋付近の交番で教えられた通り、橋を渡った後は築地4丁目まで直進してから右折した。しかし、あるはずの地下鉄の駅がなかなか現れない。
たまたま別の交番が見えたのでそこで聞いたら、右折ポイントはまだ先であった。
交番も本日3つ目!
ずいぶんと狭い間隔で交番があるものだなあと感心する。おかげで無事帰路につくことができた。

<振り返ってひとこと>(2022年冬)
東京の地理を全く知らない状態でウォーキングを始めて数か月のときの散策日記です。実を言うと、佃大橋を渡ったときは東京湾のどこか狭いところを渡っているのかしらと思ってました(!)。相生橋で「すみだ川」と書かれている看板を見て、隅田川なんだ!と気づいた次第です。名前は知っていても、見るのは初めて。そのときの感動を今でも忘れません。

※お店の情報は訪問当時の情報なので、最新の営業情報等は変わっている可能性があります。






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