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新型コロナにより、始まる「命の選別」

アメリカ、ニューヨーク市で新型コロナウイルスの感染拡大がピークを迎える中、急増する重症患者を治療する医師たちに命の選別を迫る状況が近づいています。

そこで、一部の病院や州保健指導者は病院の人工呼吸器が万一不足した場合に、どのような患者に使うべきか、ガイドライン策定に取り組んでおり、今後、数日中に訪れる危機にニューヨーク市の医師らは、どう対処するか垣間見えることになるでしょう。

優先順位を決めるガイドライン

23の病院を運営するノースウェル・ヘルスは、ニューヨーク州が2015年に策定した採点システムをもとに、最も生存の可能性が高いと思われる患者が優先的に人工呼吸器を使う予定で、このシステムは生命維持に必要な臓器の機能などの基準に基き、患者の短期的な生存率を分類するものです。

問題になるのは、同様の採点結果の患者が複数名いる場合で、いかに判断するか、検討されています。

州のガイドラインでは、まずは未成年者が優先となるが、未成年者が複数名の中にいない場合は、くじ引きで決めるように勧告している。

しかし、「時の運に委ねることはしたくない」とノースウェルの関係者は場当たり的に思われるくじ引きは採用しないと述べています。

現状の対応

マウントサイナイ医療システムでは最近、救急救命医療責任者が傘下の6つの救急部門の医師に対し、患者が重症化して意志の疎通がなくなった場合を考えて、一人ひとりに治療希望を聞くように指示がありました。

さらに、実質的に生存の可能性がない患者には人工呼吸器を使うべきではないと助言している。

具体的には、血液循環が自然に戻ることのない心停止の患者、危篤状態または進行性の病状のために通常の集中治療室(ICU)うけいれ基準を満たさない患者などです。

マウントサイナイ・アイカーン医科大学の救急救命科の責任者は、この助言はベストプラクティス(最前の事例)を確認することが目的だとしたうえで、マウントサイナイには現在、十分な人工呼吸器があり、ICUの能力は既に倍加させたと述べています。

こうした準備の必要性は一段と緊迫度がましており、7日までに同市で確認された感染者は7万4601人、死亡者は3544人に達しています。

ニューヨーク市のビル・デブラシオ市長は、人工呼吸器がもっと必要だと警告しており、情報番組のインタビューでは慎重だが楽観的に、

「1日推定300台の人工呼吸器が新たに必要になるとしていたが、ここ数日は新たに挿管を必要とする患者が100人前後だ」

と話しています。

また、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は先週までは、一台の人工呼吸器を2人で使う方法について各病院に指示していました。

しかし今週、同州の危機がピークを迎えた可能性があるとし、中国から1000台、国内他州から数百台の人工呼吸器が届き、ひっ迫した状況が緩和されつつあると述べています。


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