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深紅と深緑の競演 厭離庵・常寂光寺

12/1から一泊で出かけてきた、5年ぶりの京都もみじハント記録の続きです。



(前回はこちら)



後ろ髪引かれつつ直指庵を後にした私は、次なる目的地へと向かった。せっかく最寄り駅から30分弱の道のりを歩いてきたことだし、嵯峨野の素晴らしいもみじをもう少し愛でてから電車に乗ろう、という心づもりだ。


のどかな住宅街を再びぽくぽく歩きだす。手入れの行き届いたお庭や、年季の入った木造の門の横にちんまりと置かれた三輪車、野菜の無人即売所……そんな何気ない風景でも、見知らぬまちのそれというだけで心が浮き立つ。

所々にもはや「お屋敷」と呼びたくなるような立派な邸宅も現れたりしておののくのも、旅先でうろうろする時の醍醐味だ。普段なら決して歩かない距離(徒歩10分のスーパーですら車で乗りつける民)がなんなく歩けてしまう。

なお、村いちばんの方向音痴として名高い私がこうして知らないまちを移動する時は、Google Mapが手離せない。地図が読めないを通り越して地図を読む気が全くない不届き者でも、手元のスマホがブンブン言う音に従って歩いてゆくだけで、目的地に連れていってもらえる。いい時代になったものだ。


直指庵を出てから20分程度で、目的地が近づいてきた……のだが、評判通り入り口が非常に分かりにくい。


こんなとこ入ってって大丈夫かいな……と不安ちょっぴり、わくわくテンコモリ。木立に囲まれた細い道を通り抜けた先に、ひっそりと目的地が佇んでいた。



11月から約一ヶ月限定で特別公開されている、あの藤原定家さんゆかりのお寺。今回初めてお伺いさせていただいた。

先ほどお伺いした直指庵よりもさらにこぢんまりとしたお寺さんだ。しかしながら、その佇まいの美事なことといったら!


茅葺屋根の茶室に、一面苔むしたお庭。そして色鮮やかなもみじたちが待っていてくだすった。


ひんやりとした清浄な空気と静寂。深い深い緑の苔を褥に、散りもみじたちが艶を競う。


気品あふるる先客。




お庭の片隅にある井戸も、艶やかな装い。



前述の通り初めてお伺いしたのだけれど、あまりの居心地の良さにまたしても長居をしてしまう。こちらも先ほどお伺いした直指庵同様に、とっても静か。しんと静まり返ったお庭を眺めながら、しばし夢見ごこちに浸らせていただいた。



小一時間ほど過ごしたのち、ここからちょっと歩いたところにある紅葉スポットを目指す。……と、その前に。


もみじハントに夢中になりすぎて昼ごはんを忘れていたのが災いし、猛烈な空腹感に襲われたため(京都もみじハントあるある)、目的地近くで遅めのお昼ごはん(時間的には完全におやつ)をいただく。

このきつねうどん、もっちりとやわらかくて大変においしゅうございました。おあげがまたおいしかったなあ。



あたたかくやさしい味わいのうどんでチャージしたのち、再びもみじハントへ。



ここでこの日初めて「あー、紅葉シーズンの京都だわ」と感じる喧騒を味わう。さすが嵯峨野でも指折りの名所、そこそこ賑わっていた。


常寂光寺さんの紅葉はすでに見ごろを過ぎていたものの


境内一面に舞い降りたもみじたちが、これまた美事な風情で出迎えてくれた。



透明度高杉内



こちらでも、深紅と深緑の競演が魅せてくだすった。

広々とした敷地内にたくさんのもみじがあるため、木によってはこんな風に色づき始めのグラデーションが楽しめる。

こちらはきっと、新緑の季節も素晴らしいだろうな。


またしてもたっぷり小一時間うろつき周って満足したところで、「京都もみじハント昼の部」を切り上げることにした。普段なら絶対歩かない距離を、ミラーレス一眼+レンズ3本背負ってもりもり歩いたため、ほどよい疲労感が全身を覆っている。

明日はきっと筋肉痛ね……とおののきながら、嵯峨嵐山駅から電車に乗り、京都駅に戻った。


次回、「京都もみじハント夜の部」に続きます。



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