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備忘録 2024/3/18-3/24

3/18
きじ坊を看取って一夜が明けた。先週半ばからほとんど眠らずに過ごしていたが、数日ぶりに少し深い眠りがあった気がする。週末、布団にすら入らずきじ坊に付き添ってくれていた夫は完全にお寝坊モードだったので、出社に間に合うタイミングで起こしてさしあげる。

夫はきじ坊がつけていた首輪を自分の手首につけて出社していったが、見送った後に「50も半ばにならんとするおっちゃんの手首からリンリン♪可愛い音がするって絵的にどうなんだ」という疑問がよぎる。大丈夫かな。職場の方々をざわつかせてしまうのでは……

(夜聞いてみたら、「行き帰りはつけてて仕事中はポッケにいてもらった」とのことでした)

週明け恒例の甥っ子たちの送迎をしてから出勤。弟一家は昨夜きじ坊に花を手向けに来てくれており、甥っ子(兄者)は自ら筆をふるったきじ坊のイラストを供えてくれていたので、改めてお礼を述べる。これがねぇ、大変によく描けておりまして……将来の進路として世界的芸術家のルートもあるんじゃないかと……

繁忙期に1日半休んでしまったので、出勤後は粛々と業務に励む。やるべきことが次々沸いてきて、忙しさに追われるこの状況が今はありがたい。何かに集中していれば、哀しみや喪失感からひとときでも距離を置ける。

終業後は弟の代打で再び保育園送迎。甥っ子(弟者)が来月から登園時に背負う指定リュックを託された。ついこないだ産まれたのにもうリュックを背負うのか!!!光陰矢のごとし。よちよちだけど歩くのも上手になったもんなー。
甥っ子(兄者)が、「きじがおそらにいくまえにもういっかいあいたいな」と言う。涙腺が決壊しかけたが根性で抑え込み「ありがとう」と笑顔で応えられたばっちゃさん(私)、立派。花丸あげちゃう。
夫も「ぜひ来てやって、なんならお迎え行くし」と快諾してくれたので、明日の夜に最後の対面をしてもらうことにした。

帰宅したら、きじ坊を納めてある箱の上でおてんば姫こと珠子が香箱を組んでいた。残念ながら写真には撮れなかったが、しょっちゅうぶつかり稽古をしていた好敵手なりの弔いなのだろう。

暴れん坊将軍VSおてんば姫
このあとむちゃくちゃ稽古した


相変わらずさっぱり食欲がなく、夫も同様な上に息子殿は本日お出かけだったので、晩ごはんはコンビニのおにぎりと味噌汁で済ませる。日課にしていた自宅運動も数日間お休みしているが、お見送りを済ませたら再開するつもりだ。

ふとした時に視界が歪むが、涙は零れない。昨日きじ坊を看取った時はさすがに泣いてしまったが、その後はずっとこんな感じ。昔から卒業式で泣かずに半月後に号泣するタチなので、諸々落ち着いたら反動が凄そうだ。

5年半の間に撮ってきた写真で「きじ本」を作ることを思い立つ。


3/19
相変わらず寝不足なのに今日もアラームが鳴る前に目が覚めた。しばらくはこんな感じだろうが、どうせなら来月下旬の「ウキウキ!春の繁忙☆キャンペーン」の大一番(朝がめちゃくちゃ早い)まで継続してほしい。
夫と一緒にきじ坊の保冷剤を交換していると、我が家の家長である横綱・しまじろうが箱を覗いてスンスンしだしたので、一緒に悼んでくれているんだな……とほろりとした瞬間、供えてある花を食いちぎった。やめなさい!まったくもう。
横綱は今一緒に暮らしているねこたちの中で唯一、共に両親を見送ってくれたねこだが、どちらの時も納棺直前になって仏にマーキングをする(しかも揃って足元)偉業を成し遂げている男でもある。もしきじ坊を箱に納めず布団か何かに寝かせた状態だったら、今回も間違いなくやっていただろう。

今日も粛々と業務に励む。先週まで仕事中のお弁当&おやつが不可欠だったのが昼のカップスープ一杯で事足りてしまう。食欲が完全にバグっている。

夜、弟一家が最後のお別れに来てくれる。甥っ子(兄者)がたくさんきじ坊をナデナデしながら「きじ、いってらっしゃい。またいつかあおうね」と声をかけてくれた。圧倒的超絶天使杉内。
背後から見守っていた夫はニコニコしながら泣いていた。わかりみが過ぎる。

少しでも何か腹に入れねばという使命感で晩ごはんはたぬき蕎麦を作る。

きじたろうの身体に触れられる最後の晩なので、写真を撮りつつ存分にナデナデして、一緒に過ごした5年半の思い出語りをした。
きじ坊の魂はまだここに居てくれると思っている。家の中を存分に探検し、お気に入りの窓辺からニャルソックし、ちゅーる入れの缶に熱い視線を注ぎ、ふすまで爪といだりカーテンをよじ登ったりして、今までずっとそうだったように夫と私の布団に潜ってど真ん中で寝てくれてるといいな。


3/20
早朝から雲ひとつない快晴で、真っ青な空が広がっている。昨日の寒さも緩み、あたたかくなりそう。きじ坊の出発にふさわしいお天気だ。

夫と共に、保冷剤入りの箱から私のひざ掛け(きじ坊のお気に入りだった)にきじ坊を移してくるみ、最後の写真撮影をし、存分に抱っこ&猫吸いしてからお葬式のために出発。





※ねこのご遺体の写真が出てきます。ご注意ください









味気ねぇなぁ…と思いつつ、
保冷のために発泡スチロール箱に寝てもらってました
蓋を外すと他にゃんずが顔を見に来ていました
本当に愛が深いね、君たちは。
「最後にお布団に寝かせてやりたい」という夫の言葉がうれしかった
毎晩きじたんぽ来い!って呼んで一緒に寝てたもんね


元気だった頃の寝顔とおんなじ


近隣市のお寺までは30分程度だが、きじ坊にとっては今までで最長のドライブである。早咲きの桜やお散歩中のわんこを見つけるたびに、「きじ坊、桜だよ!」「かわいいわんさんがいるよ」と2人で話しかけ、信号待ちの間にナデナデしながら向かった。

お寺に着いてご住職に挨拶し、お花やちゅーる、甥っ子からのお手紙と一緒に安置したきじ坊にお経をあげていただき、最後にまた変わりばんこで抱きしめたのち、きじたろうは荼毘に付された。
私も、日曜からずっと泣き通しだった夫も、不思議と涙は出なかった。きじ坊の出発をしっかり見届けようという気持ちが涙を押し留めてくれたんだと思う。
私たちの人生に現れてくれたこと、出会ってから最期の瞬間までたくさんの幸せを与えてくれたことへの感謝を述べ、「気をつけて行ってらっしゃい」と送り出した。
お骨に対面した時、かなり立派な骨が多くてびっくり。よく食べる割にシュッとした体型だったけど、実は骨太男子だったんだねえ。

お骨と共に帰宅後抗いがたい猛烈な眠気に襲われ、2時間ほどこたつで寝落ち。その後美容院で散髪。
私と夫は同じ美容院にお世話になっているのだが(お付き合いする前からたまたま同じお店に通っていた)、夫はきじ坊が亡くなった日に一足早く散髪に来ていたため、諸事情を聞いていた美容師さんから丁寧なお悔やみをいただく。闘病中も、私のにゃんすたぐらむを見て気にかけてくださっていたらしい。

美容師さんもかつて愛犬を5歳で看取った経験があるそうで、辛いですよね、と語り合う。同じような痛みを知っている方と話せることが、今とてもありがたい。

髪の毛すっきりさっぱりして帰宅し、久しぶりに台所に立つ。相変わらず食欲はバグったままだが、少しずつでも日常に復帰しないときじ坊を心配させてしまうので、簡単なものばかりだが作りおきを仕込む。
晩ごはんは「とにかくやさしい味のものを……あと野菜を摂らねば……」という使命感に従った結果、親子丼とミネストローネという脈絡のない献立になってしまった。まあよい。


脈絡のない晩ごはん

入浴前に1週間ぶりのフィッボ40分&プランク体操。えええ……こんなキツかったでしたっけ……???

寝る前に、ホワイトデーに夫が贈ってくれたワインを開けてきじ坊に献盃する。


3/21
今朝も快晴。結構さぶい。染井吉野の開花まではもうちょいかかりそうだ。
本日も粛々と業務に励む。我が部署は月末に事務室のおひっこしを控えているので、日に日に増えてゆく段ボールタワーに囲まれての業務。端から見るとかなりシュールな光景。

今週から我が家に「ペットみまもりカメラ」なるものを導入している。これはニンゲン組が留守中のきじ坊を見守るために先週末購入したもので、残念ながらお役目を果たす前にきじ坊は逝ってしまったわけだが、他にゃんたちのために月曜から居間に設置した。動体を検知すると録画システムが起動する設定にしてあるのだが、昼休みにスマホから確認してみると、自分がいない時間帯のねこたちがどんな風に過ごしているかが見えて、かなり面白い。もっと早く導入すればよかった。今までは「お高くていらっしゃるんでしょう……」と尻込みしていたが、いざ調べてみたら全然お手頃だし、映像もかなりクリアで感動した。せっかくなんでもう2台くらい設置しようかな。


終業後いったん帰宅し、我が家の家長・横綱ことしまじろうの健康相談のため病院へ。かかりつけのお医者さまが諸事情で診療時短になり、なかなか行き辛いので先日まできじ坊がお世話になっていた所に行く。
しまさんは慢性の鼻づまり持ちなので、新しい薬を処方していただいた。

晩ごはんは、鶏とれんこんのオイスターソース煮、きんぴらごぼう、あさりとわかめとねぎの味噌汁、漬物。


相変わらず食欲はバグったままで日中はほとんど食べていないせいか、夜に米を食べた後猛烈に眠くなる。あまりに眠すぎてフィッボはお休み。


3/22
本日もすきっと快晴。そしてさぶい。染井吉野、今年は入学式あたりがちょうど良い感じになるんではなかろうか。
年度末進行もいよいよ佳境に入り、職場が独特の緊張感でぴりっとしてきた中、本日も粛々と仕事。昼休みにレトルトのクラムチャウダーを食べる。
今週はずっとお弁当作りをお休みしているが(私も夫も食欲バグ状態)、昼に炭水化物食べないと午後全然眠くならない。今まで昼はがっつり食べる習慣だったけど、ひょっとしてあんま食べない方が仕事効率的にはよいのか……???

今夜は息子殿が外食だったので、晩ごはんは作りおきのミネストローネで簡易リゾット……っていうか雑炊。

食欲バグでも汁物なら食べられる。汁物はいいね……リリンの生み出した文化の極みだよ。

自分のことを差し置いて何だが、夫があまり食べないのが心配だ。大好物の甘いものもなかなか喉を通らないし、ごはんも「なんとか頑張って」食べていると言う。わかりみが過ぎる。色々話した結果、来週はおにぎり弁当にしてみることにした。

今回のきじ坊事案でつくづく思い知ったが、夫は本当に他者に対して弱音や愚痴を吐かない。辛いことも苦しいことも全部自分で飲み込んで乗り越えようとする。お付き合いしていた頃から理解しているつもりだったが、これほど徹底していることに改めて驚かされた。
私も自分の暗黒面を外に吐き出すのが苦手だが(そのかわりnoteには時々ぶちまいております……すみません)、それでも夫に対しては時々、いやまあまあかもしれない……ともかく泣きつくことがあり、夫はそれに対して特にコメントをくれる訳ではなくただぢっと聞いてくれるだけなのだが、聞いてもらっている内に気持ちが徐々に整理され「じゃあどうするか?こうするか!」みたいに前を向けるようになるので本当に助けられている。
でも、夫はどうなんだろう。私は夫にとってわずかでも助けとなれる存在なのだろうか。彼が本当に辛い時、私は一体何をすべきなのだろうか。何ができるのだろうか。ひょっとして……ただ彼が1人で折り合いをつけて浮上してくるまでぢっ……と待つことくらいしかできないのでは?それパートナーとしてどうなん??そもそもなぜ夫は私みたいな面倒くさいやつの傍に居ることを選んでくれたんだ???私が夫に与えられるものって一体何なんだ……(以下ループ)

もう何年も考えているが答えが出ない疑問が頭をぐるぐる回る。


夕食後にまたしても猛烈な眠気に急襲され、今日もフィッボはお休み。なかなか生活リズムをととのえられないのが情けないが、今はまだ仕方ない、と自分を甘やかすことにする。昔と違い、今は「それでいいよ。ゆっくり行きなよ」と言ってくれる人が居るのがありがたい。


3/23
今日は年明けから親友と約束していた観劇の日。親友はきじ坊の件でずいぶんと私を気遣ってくれていて、くれぐれも無理せずにね、ドタキャンしてもええんやで……と言ってくれていたが、親友に会いたかったし気分転換になるかもという思いもあったし、夫も「お出かけしといで、きじ坊もその方が喜ぶよ」と言ってくれたので、いつも通り起きて身支度をととのえ、シティーに出かける。

本日観たお芝居はこちら。


昨年の第一弾である『化猫』編も良かったが、今回も大変に素晴らしかったです……!
舞台でやるお芝居は今まで片手で足りるほどしか観たことがないが、役者さんて本当に凄いんだな、と圧倒された。いわゆる2.5時限の世界に魅了される方が多いのもうなずける。

薬売りさん、今回も惚れ惚れするほど格好良かった

劇中で登場人物の1人が「もっとずっと一緒に居たかったよ!」と叫ぶシーンがあるのだが、それまでのストーリー展開でただでさえ感極まっていたところにそんな台詞が来たもんだから感情が大きく揺れてしまい、ぼろぼろ泣いた。

観劇後は親友のリクエストで浅草橋に移動し、彼女のお買い物(手作りアクセ用パーツ)を一緒に楽しませてもらってから、遅めの昼ごはん兼早めの晩ごはん。偶然見つけたすてきなお店に入る。


生牡蠣
合法生肉盛り合わせ(馬刺・レバー・ユッケ)
パクチーたっぷりのサラダ

かれこれ10日ほどまともな食事を摂っておらず、何が食べたいんだかさっぱり分からなかったのだが、久しぶりに食べ物を口にして「おいしい」と思えた。合法生肉(このパワーワード感よ……)の盛り合わせが本当に素晴らしい。全く臭みがなく、口の中でほろりととろける。肉はのみものであったか!!
絶好調時なら絶対おかわりしてワインも浴びるほど呑んだな。
生野菜も久しく食べていなかったので、シャキシャキした歯触りとパクチーの香り高さ、それを引き立てる絶妙な玉ねぎドレッシングが身体にしみわたるおいしさだった。
お店のスタッフさんも雰囲気(ちょっと隠れ家風)もすごく良くて、ここのお店で呑むためだけでも浅草橋にまた来ようと固く心に誓う。

親友にこの10日間のことをたくさん聞いてもらう。必然的に夫のことも色々と話したが、親友は私の前回の結婚生活(圧倒的超絶黒歴史)について熟知しているので、事あるごとに「wkn、本当にいい人に出逢えたねぇ」「夫さんに本当に愛されてるって改めて分かって、安心したよ」と涙目で言っていた。お母さんかい。
「wknへの気持ちが私と同レベルの男が出てきたってのは正直かなり悔しいけどね……ま、君を先に見つけたのは私だし男には越えられない壁もあるからね(ドヤッ」とも言っていた。愛が重い。だがそこがいい

新宿に戻ってからはデパ地下をひやかしたり、私の要望でアウトドアグッズショップに立ち寄ったり、ぷらぷら過ごす。今シーズン(11月~4月)も一回だけのソロキャンプで終わってしまいそうだが、次回までに椅子をアップデートしたいなあと考えている。多少重くてもいいので、低めでゆったりと座れて、できれば座面であぐらがかけて、ひじ掛け付きで、茶色か深緑色なやつ。嗚呼、未だ見ぬ我が愛しき椅子よ。貴方は今何処に???

苦しい胸の内は変わらないままだが、親友との時間に癒される1日だった。ありがとうハニー。


3/24
昨日に引き続き朝から曇天。そしてさぶい。まだまだ冬物のコートはクリーニングに出せなさそうだ。

週末のルーティン家事をしながら、昨日のお出かけしたことについて強い罪悪感に襲われる。大切な子が亡くなったのに、昨日お芝居を楽しんだりごはんを食べておいしいと感じたことがとんでもなく悪いことに思える。自分が心底憎くて気持ち悪い。きじ坊は私と出会ったばっかりにあんなに早く逝ってしまったのではないか?なんで私のうのうと生きてんの??生きてる価値、いや、生きてる資格あるの???

ぼろぼろ涙が出てきたが(それすら腹立たしい)、年を取るというのは本当にありがたいもので、経験則的にこのクソデカ感情は脳のバグによるものだと分かっている。ので、ひとしきり泣いてから呼吸をとののえて自問自答する。

あの子がそんなことを望むと思うか?あの子は私に何を教え、何を遺してくれた?最期の最期まで立派に生きた彼に恥じない生き方をする、それが家族としての責務ではないの?

家族や友人、この街(note)で出逢えた方々、インスタで出逢えた方々が寄せてくれた数々の言葉を思い返す。哀しみを共有しながら、きじ坊にも私にもあたたかな気持ちを寄せてくれた。短くとも幸せなにゃん生だと言ってくれた。私が私を貶めて憎むことは、きじ坊ときじ坊を思ってくれた人たちを貶めることに等しい。私は私を大事にしなければいけない。私は独りで生きていないのだから。様々な存在があるからこその私なのだから。

これからも脳がバグって苦しい時が何度だってやって来るだろう。そうしたら今の気持ちを思い出そう。(というつもりで書き残しておきます)


今夜は息子殿が外食なので、晩ごはんは食欲のない中年コンビ仕様にする。ごはんと一緒に鶏そぼろや明太子、納豆を並べ、小松菜とあぶらげの味噌汁、レタスのナムル風サラダに漬物。

すがすがしいほどの手抜きメシ

めんどく星人の真骨頂とも言うべき晩ごはんになってしまったが、夫が久しぶりにごはんをおかわりしていた。今はこういうのが食べやすいのかもしれないな。

明日からはいよいよ年度末の大詰めだ。がんばろう。


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