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靴ひもが解ける理由を考えてみた。

スカートにも、オフィスカジュアルなパンツにも、スニーカーを合わせることは一般的になってきて、私も、通勤はほぼスニーカーだ。

今朝は家から駅の徒歩中に、右が1回、左が1回、靴紐が解けて結び直した。

通勤に使うスニーカーは、黒1足、白2足、緑1足をローテーションしているのだが、大体1日に2回は解ける。

歩いてる最中に、しゃがんで靴紐を結び直すのは面倒くさい。通勤時は歩く人たちの波ができてるから突然立ち止まるのは周りにも迷惑だ。

脇に外れてしゃがみ込むことができるスペースがある所まで、解けた紐を、軽く爪先を蹴りながら、踏まないように歩いていく。

今日もなかなか良いスペースが見つからずにしばらくその状態で歩き続けて、空中をフワンと舞う紐を見ながら考えたことがあるので、書いてみます。

靴紐は何のためにあるのか

そもそも靴紐は何のためにあるのだろう。スポーツ用はわかる。足とシューズを一体化して、競技のパフォーマンスを上げるために、人それぞれにどのぐらいのフィット感がちょうどいいかは変わる。その微調整は、プレイの出来不出来を左右するだろう。

では、普通の人のシューズは?
もちろん、長く歩いても疲れにくく、足の痛みなどが出ないためには同じように必要だが、競技と同等なまでに必要とは思えない。

靴の中には、革靴とかパンプスとかスリッポンタイプとか、紐のないタイプもたくさんあるし、むしろ不用なんじゃないか。

…と、駅のベンチに腰掛けて靴紐を結べるスペースを確保できるまで、本当にしょうもないことを考えていた。

靴紐を結ぶのは、面倒だとは思うけど、無駄だとは思わない。

実は、こういう時間も必要なんだよな、と思うようになったきっかけの話がある。

「土踏まずのところをキュッと結ぶと、あと一歩が出るんです」

そう話してくれた人がいた。

シューズで有名な、スポーツメーカーの方だ。たしか、ハンドボールかバスケの選手だったと思う。

試合の後半で、もう無理、走れない、動けない、と思った時、靴紐をキュっと結び直すと、あと一歩が出るのだそうだ。

そのメーカーのシューズはサイドに特徴のあるラインがあり、2本がクロスする場所は、ちょうど土踏まずのところにくるようにデザインされている。

汗で視界が滲んで、疲れてフラフラしていても、手探りで、どの部分をキュッと絞れば良いか、わかると言うのだ。

手で自分のシューズのサイドに触れ、特徴のあるラインを探り、クロスする部分でキュッと結ぶ。そうすると、あと一踏ん張りができる力が集まってくるのだと。

「本当ですか?」

「本当ですよ、私、何度もそれで走ってきましたから!」

靴ひもが解ける。

面倒だな、と思うけれど、解けた靴紐を結び直すたびに、この話を思い出す。

そして、いい話だなぁとうっとりするのだ。

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