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カウンター越しの将棋

2ヶ月ぶり3度目にして、マスターに覚えてもらったっぽく嬉しいカウンター。

そういえば今日は、カウンターの向こうに女性スタッフさんがいた。失礼ながらそんなに忙しくないお店だし、女性の歓待というのも少し違う雰囲気なのでアレレと思いながら、反対側の奥に腰を落ち着ける。

ソーダ割りとオニオンスライスをお願いし、サッと出していただいた大きめの、気持ちの良い冷たさのおしぼりで手を拭っていると。

パチン。

と音が聞こえてくる。

ん?

と音の方を見やると、カウンターの上に将棋盤を置き、先ほどの女性とお客のおじいさんが、パチンパチンと将棋を指していた。

なるほど。

この女性は、私がお店に居てる間は、将棋のお相手しかしてなかったと思う。緩やかに湾曲したカウンターの奥と奥の席同士で、しかも、ちょうどいい目隠しのような柱があり、向こう岸の様子は見えないから、確かなことはわからないけど、きっとそう。

あー、負けた。
ねぇ、ハンデちょうだい。

ええよ。

王、隠してもいい?

それはアカン。

じゃあ、それとそれと、それちょうだい。

え?まぁ、ええよ。

どうやら、おじいちゃんからお気に入りの駒を譲ってもらったみたい。

近くの席のおじさんが、

◯◯さん、えらい手駒が少ないなぁ笑

と笑ってる。

パチン。
パチン。

お店に流れるBGMは、愛は陽炎、サチコ、あとは、私もよくわからない、けど、聞いたことある歌謡曲。

隣のおじさん。
空のグラスを持ち上げて、

マスター。穴あいてるわ。

はい(苦笑)

ははは、おかわりちょうだいの意味か、おもろいなぁ。

パチン。
パチン。

ゆっくり流れる時間。
ソーダ割りが美味しい。

良いお店です。
また、来ます。

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