LOVE AFFAIR〜秘密のデート〜 歌詞考察
夜明けの街ですれ違うのは
月の残骸と昨日の僕さ
二度と戻れない境界を越えた後で
嗚呼この胸は疼いてる
決して許されない相手と、情事を重ねた帰り道。
主人公の男は、一線を超える前の自分を回想します。
もう昨日の純粋かつ潔白だった僕には戻れない。
過ちを犯してしまった自分に対して、罪悪感を抱くと共に、何故か高揚感に似た感情に胸が疼きます。
振り向くたびにせつないけれど
君の視線を背中で受けた
連れてかえれない黄昏に染まる家路
嗚呼 涙隠して憂う Sunday
逢瀬を重ねた後の別れはいつだって寂しくて、背中越しに見つめる君を感じます。
普段どおりの家庭に戻るため、いつもどおりの家路につく主人公。
彼は良い夫、そして優しいお父さんを演じているから、家族で過ごす日曜日は会うことができない。
寂しさを潜めながら、ため息をついて普段通りの週末を過ごします。
君無しでは夜毎眠らずに
闇をみつめていたい
君が傍にいない夜は、安息につかず、ただただ君のことを思って深い闇に落ちていきたい。
裏を返せば、君がいるときだけが、心から安らぐ時間なんだというアピールですね。
マリンルージュで愛されて
大黒埠頭で虹を見て
シーガーディアンで酔わされて
まだ離れたくない 早く去かなくちゃ
夜明けと共にこの首筋に夢の跡
横浜を巡るデートプラン。桑田さんは旅行雑誌を見ながら作詞したとのこと。
マリンルージュというのは人気のクルージング船。
大黒ふ頭で見る虹はご存じレインボーブリッジを意識しているとのことですが、これは勘違いであり、大黒ふ頭からは見えません(笑)見える橋は横浜ベイブリッジですね。
シーガーディアンは横浜にあるバーの名前。その昔にはマッカーサーなども訪れたようです。
どれだけ君と一緒にいたくても、自分の帰るべき場所に戻らなければならない。首筋に残るキスマークと共に、彼は今日も帰路につくのでした。
愛の雫が果てた後でも
何故にこれほど優しくなれる
行為が終わったあとでも、冷めることなく君を愛している。
二人は単純な体の関係ではなく、もはや心まで虜になってしまっています。
非常に生々しいシーンですが、その表現の仕方からは、幻想的な愛を感じてしまいます。
二度と戻れないドラマの中の二人
嗚呼 お互いに気づいてる
まさか自分が普段見ているドラマのような恋愛をしてしまうなんて。
この過ちはもう取り返せないこと、その結末がハッピーエンドではないことに二人は見て見ぬふりをしています。
棄ても失くしも僕は出来ない
ただそれだけは臆病なのさ
連れて歩けない役柄はいつも他人
嗚呼 君の仕草を真似る Sunday
だからといって大切な家族を棄てることも、幸せな時間を過ごせる君を失うことも彼には選べません。
普通のカップルのように堂々とデートをしたいけれど、世間体を考えたら他人の二人。
会えない日曜日に、ふと君がやっていた仕草を真似してしまう。それだけ彼女の姿を欲しているんですね。
好き合うほど何も構えずに
普通の男でいたい
相手との関係は職場の上司と部下など、ビジネス的な関係なのかもしれません。
そんな普段の関係を捨てて、良い夫やお父さんの肩書を捨てて、ただの男と女として君と愛し合いたい。
そんな儚い願いが込められています。
ボウリング場でカッコつけて
ブルーライトバーで泣き濡れて
ハーバービューの部屋で抱きしめ
また口づけた
逢いに行かなくちゃ
儚い夢と愛の谷間で溺れたい
昔から得意なボウリングで張り切ってカッコいい姿を見せる彼。
一転して、酔って彼女の前でただただ涙してしまう彼。
ブルーライトバーはマリンルージュの近くにあるスターホテル横浜にあるバーです。(惜しまれながらも先日閉店しました…)
そんな時間を過ごしたあとは、海の見える部屋でただただ情事を重ねてしまう。このスターホテル横浜の一室なのかもしれません。
やがてまた平凡な日常がやってきます。
これからも君の傍にいたいという儚い夢と、
普段から支えて慕ってくれる家族の愛。
何も考えず2つの幸せにおぼれていたい。そんな願いをささげる彼でした。
マリンルージュで愛されて
大黒埠頭で虹を見て
シーガーディアンで酔わされて
まだ離れたくない 早く去かなくちゃ
夜明けと共にこの首筋に夢の跡
だから愛の谷間で溺れたい
歌詞は不倫をテーマにした、今の時代においてはタイムリーな、ドロドロした内容になっています。
それでも嫌悪感を感じさせない曲に仕上がっているのは、美しいコーラスやメロディ、そして失恋や叶わぬ恋、暗いテーマを明るく歌い上げるサザンのテクニックがマッチングしたことが大きいでしょう。
是非聴いてください!
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