仮想空間上でプレゼン・交流イベントを成功させるには -その1
ウィズグループでは今年度、仮想空間内でのビジネスイベント、すなわちピッチ(プレゼン)や交流の検証を行っています。これまで何回かイベント開催の支援を行ってきたので、その一部をnoteでも残しておきます。
その1として今日は、神戸市役所主催で12月22日に開催されたイベント「KOBEスタートアップピッチ~Stop Covid-19×Technology~」の紹介をします。新型コロナウイルスの感染拡大により浮き彫りとなった様々な社会課題に対し、解決を目指すスタートアップ7社が登壇するピッチイベントを開催。各社の取り組みを紹介したほか、コワーキングスペースに各社のブースを用意し、参加者との面談・交流ができるようセッティングしました。
イベントの模様はCNETさんに詳しく書かれています。https://japan.cnet.com/article/35164298/
仮想空間、バーチャル空間とも言いますが、アバターを使ったコミュニケーションができるオンラインプラットフォームです。視覚聴覚を使う点ではZoomなどのビデオ会議システムと同じですが、より立体的な、あるいは現実との対照関係に基づいた経験が得られると言われています。
昨年から神戸市さんと検証を重ねているサービスの一つが、Virbela。他の仮想空間サービスよりも空間やアバターが現実世界に近いデザインのため、普段遣いのビジネス利用に適しています。ゲーム性の高いサービスにはその良さがありますが、ビジネス上のコミュニケーションを重視する場合はVirbelaの方が向いているような気がします。米国企業が開発しているため、アバターが多様な人種等のスタイルに対応しているのも今日的な配慮が伺えます。一方、日本語化は進行中というところで、現時点ではチャットで日本語が通りません(基本的なコミュニケーションはボイスのため、そこは問題なし)。
オープンなエリアは無料で誰でも入れますので、興味のある方は一度体験いただくことをおすすめします。今日は、有料で契約すると使える部分のお話です。我々は大きく2つのエリアを契約しています。
カンファレンスホール:いわゆるイベント会場、契約により収容人数(やデザイン)が異なります。
コワーキングスペース:事務所スペース、商談をしたり雑談をしたりするエリアです。
それぞれ、契約主体が参加者向けパスワードを共有することで招待することができる仕組みです。パスワードは管理者が任意に変更可能なため、単発イベントのみのパスワード発行も可能になっています。
さて、その運営をサポートした立場から、魅力と課題についていくつか紹介します。
1,使えるまでのハードル
まず、Virbelaをスムーズに動かすには、それなりのマシンスペックや通信環境が求められます。しかも、アプリの起動後にたいてい自動アップデートがかかりログインに至るまでに時間がかかるため、余裕を持った開場・入場時間の設定をします。また、企業によってはセキュリティポリシーにより、PCにVirbelaがインストールが出来なかったり、ネットワークの制限がかかっていたりすることがあるため、事前チェックは非常に重要です。
利用できない参加者がいることを考慮とし、最低限の雰囲気を味わってもらうために弊社ではイベント時にVirbelaを動かしているPC画面をYouTube Liveで配信をしています。
2,プレゼン
ホール内のステージでプレゼンをすることができます。立体感のある見え方で、かつ会場後方に座っていても任意のスクリーンを目の前に拡大させて見ることができるため、講演スライドはむしろ普段よりも見えやすいです。ビデオ会議と異なり自分自身のカメラ映像を他人から見られていないことから、リラックスして参加できるのもメリットです。
なお、プレゼンターに関しては、資料のページ送りや立ち位置の確認など操作方法についてのリハは必須です。今回は、事前に講演者マニュアルを送付の上、本番の前に2回に分けてテスト日を設けました。
スライドが重たいとスクリーンがブラックアウトすることがあります。それは視聴者の環境に左右されるため、見られる人と見られない人が発生してしまいます。スクリーン右上のリロードボタンで回避できるので、それを本番中に適宜アナウンスしました。たまに、司会や登壇者アカウントでそのスライドが表示されないことがあり、その際はかなり冷や汗が出ました。普通のイベントと同様、ステージに進行を管理するディレクタ(しかも仮想空間のシステム上の癖が分かっている人!)が非常に重要なポジションです。経験知としては、PDFで2MB程度のスライドであれば大丈夫そうでした。
3,ネットワーキング
コワーキングスペースでは楽しそうに交流する参加者の姿が見られました。元々知っていた人どうしがアバターで改めて話をすることの新鮮さもあったようです。ネットワーキングでは主催・運営側から特段の指示を出さず、自由に交流してもらう形をとりましたが、参加者の慣れの問題もあり、積極的に人と人をつないでいく役割の人を意図をもって配置するなど、きっかけづくりの仕掛けも今後は検討の余地がありそうです。
【まとめ】
事後の参加者アンケートでは、アバターであるからこそ話しやすかった、参加しやすかったという声があった一方、アバターで気軽に話しかけ、気軽に話を終えられるというコミュニケーションにまだ慣れないという意見もいただきました。また、日本のビジネス慣習である名刺交換による連絡先の共有をどう補完するかなど、Virbelaの機能でカバーできない部分の運用に工夫が求められます。また、スタッフや登壇者間の連絡手段をしっかり持っておくことも重要です。そうした細かいケアを考えると、普通のイベントと同様のサポート体制(仮想空間上での誘導や講師対応、舞台進行スタッフなど)を構築する必要がありそうです。
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