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大衆心理とリスクセンチメント

FXをしていると必ずと言っていいほどぶち当たる最初の壁。「大衆心理」

大衆心理って言われてもね…みんながどう考えているかわかれば苦労しないよね。

大衆心理について行け!という話しと大衆心理とは逆にポジションを取れ!という話しがあるけど、結局どっち?

今の経済がどうとか言われても、そんなの難しくてわかんないよ!

こんにちは。或いはこんばんは。
専業トレーダーのdaiceです。
大衆心理というのはいろいろなところで解説されていますね。
「天井圏でダブルトップがでたら下落する」と、みんなが思うからネックを割ったら下落するんだよ。とか、
「ここは固いとみんなが思ったラインを割った」から損切りを巻き込んで価格が走るんだよ。とか、
「みんなが売りだ売りだ」と思ったのならそこはもう買いどきなんだよ。とか。

その通りですね。これも大衆心理です。

他にも日足の始値と終値だったり、今月の高値や安値だったり、今年の最高値と最安値だったり、ラウンドナンバーなんていう節目の価格も、みんなが意識するからこそ大衆心理として反応するということですね。

しかし、そもそもダブルトップが出たら下落するっていってもダブルトップという形を作ったのは何で?という疑問が出てきます。
ダブルトップが作られた理由として、左山の高値が大衆に意識されたから、そこで価格が止まりダブルトップを形成し始めたわけですね。
では、ダブルトップが作られ始めて、みんなが「売りだ売りだ」と思い始めたら売りなんでしょうか?
あれ?でもみんなが売りだと思ったらそこは買いどきだ、なんて言葉もありますね。

ダブルトップなどのチャートパターンは「その形が出来たから下落するという原因」ではなく、「その形になるようなところで、価格が意識された結果により形作られた現象」でしかありません。

つまりその形自体にチャートを動かす力はなく、その形を認識するトレーダーが、その形を認識していないトレーダーの数を超えた時のみ、機能するものだということです。なので形が完成するまでは根拠にならない。とも言い換えることもできます。
でも形としてのダブルトップはすでに認識できる形状ではある。じゃあ意識されるんじゃないの?とも、取ることができます。

この辺が大衆心理がよくわからないとなる原因です。まぁこの辺のお話しはたくさん解説している人がいるのでそちらにお任せしましょう。

今回はそのようなテクニカル的な大衆心理ではなく、せっかくdaiceがファンダミックスのトレーダーなので、市場のリスクに対する大衆心理というところに突っ込んでいきたいと思います。

「市場のリスク」????
となる方もいると思いますので、まずはそちらの説明からしていきましょう。

このnoteは最後まで無料で読めます。最後まで読んでタメになったと思ったらdaiceに幕の内弁当を奢ってくださいw
また、今回の内容はdaice独自の考え方ですので、違う考えを持ったトレーダーさんもたくさんいらっしゃることを前提に読み進めて下さい。それでは「市場のリスクについての大衆心理」お楽しみください。

市場のリスクの大衆心理

市場に参加している人たち(大口、個人問わずトレーダー達)が今の市場に対して資金を投入する時に、どのように感じ、どのように行動し、どのように思惑を持っているか?ということを「市場参加者の市場に対するリスクへの意欲」と言います。
私たちがポジションを持つ時に「うわっ!上下動すごっ!怖ーい!うーん…やめとこう…」と感じることや「おぉーボラ高けぇ!ここは伸びるんじゃないのー!いけるぜぇー!」という感情。
つまり、今の市場に対して自分の資金をリスクに晒しても安全か?それとも危険か?という欲望にまみれた思惑のことですね。
これを一言で「リスクセンチメント」と呼びます。

トレーダーが実際にポジションを持つときは、「どれだけ増やすことができるか?」と「どれだけ失うかもしれないか?」の2つを考えます。
これがリターンとリスクですね。

リスクセンチメントというのは、市場に参加するトレーダーがリスクに対してどれだけ積極的になっているのか?を表します。
「これだけ失うかもしれないけど、こーーーんなに増やせるかもしれない!!」なんて時はリスクよりもリターンの方が明らかに優位なので、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という感じで資金が大量に流れ込んだり、ボラティリティの高いものに果敢に挑みます。

逆に「これだけ失うかもしれないけど、増える額も大したことないさそうだなぁ」なんて時は、リスクに見合うだけのリターンが期待できないので、「石橋を叩いて渡る」ではないですが、みなが慎重になり資金の引き上げなどを行って市場から資金が流出したり、ボラティリティの低いものに逃げたりします。

これは、「市場が今抱えているであろうリスク=不確実性の大きさ」に対して「大衆のそのリスクに対する態度=危ないか、そうでもないか」がどうなっているかを意味します。
起こりうるリスクを受け入れる準備が大衆側にできているかどうか?そのリスクを受け入れてでも得られるリターンが大きいと感じているか?ということですね。

なのでリスクセンチメントは、市場全体の雰囲気と考えてください。「この状況、みんなはどう思ってるの?」ってイメージです。

リスクって?

ここで、先ほどから出ている「リスク」という言葉について深掘りしましょう。
リスクとは「資金が損失を受けたり、利益を享受する可能性の大きさ」と考えることができます。
リスクというと損失の方にばかり考えてしまいがちですが、利益を得るために受け入れるものということで、リスクという言葉の中には両方含まれます。

わかりやすく言えば宝くじ。1枚購入するのに300円かかります。この「300円」がリスクです。
「1等7億円を当てるために300円のリスクを背負っている」ことになります。
ほぼ当たらない(daiceは宝くじは3000円までしか当たったことがないw)7億円のために300円を失う、人によっては30枚も買って9000円のリスクを受け入れる人もいますね。
でも、もしかしたら少額が当たって半分は戻ってくるかも知れないし、少しはプラスになるかも知れない。これが「資金が損失を受けたり、利益を享受する可能性の大きさ」ということですね。

言い換えれば、「どれだけ損失を受けるか、どれだけ利益を得られるか、その大きさはわからない」という不確実性のことを「リスク」と呼んでいるのですね。

つまり、トレーダーが市場でポジションを持っている間、そのポジションが利益になる可能性と損失をもたらす可能性があるので、定義の上ではリスクを引き受けているということになります。

感情による支配

この時に大衆心理は2つの感情に支配されます。それが「失うかもしれない恐怖」と「増えるかもしれない欲望」です。

恐怖に感情が支配された時、その時トレーダーはリスクよりも「安全」を求めます。
資金をリスクに晒すことにより得られるリターンが少ないと感じ、勝負に出なくなります。セリフっぽくいえば「割りに合わない」でしょうか。

逆に欲望に感情が支配された時、その時トレーダーはさらなる「リスク」を求めます。
資金をリスクに晒してでも得られるリターンが大きいと感じているからです。セリフっぽく言えば「ここで行かなきゃ男じゃない」って感じでしょうかね。

FX市場に参加するトレーダーの多くは短期的な投機を行なっている方が多いと思います。そのため、無駄に強気になって資金を飛ばさないためにも、リスクに対する大衆心理の変化を敏感に感じるために、リスクセンチメントを理解しておくことはとても重要なことです。

ここからはリスクセンチメントに関わる用語を解説していきます。よくニュースで聞く言葉だと思います。曖昧にしておかずしっかり取る覚えておくことで、こういったことも武器になります。

リスクオン

金融関係のニュースで「リスクオン」と「リスクオフ」という単語がよく出てきますね。

まず、「リスクオン」というのは市場がリスクを許容している状態を指します。
経済の見通しが上向きになりそうだったり、またはすでに景気が上向いてきた実感があったり、発表された経済データが好調だったり、それが大衆心理的に支持されるような内容だったりして、市場価格の急変動が起こりづらい状況だと判断され、今は危険度が低いと多くの人が感じるようなときは、市場環境のリスクは「オン」のスイッチが入ります。

市場がリスクオンのときは、リスクを冒してでも期待できるリターンが大きいため、普段なら行わない危険度が高い取引でも、積極的に攻めるトレーダーが多くなります。
リスクが高めの資産(ボラティリティが安定していない資産)を購入し、安全と言われる資産を売却することで、多くの資産をリスクに晒してより高いリターンを求めます。
なぜなら、リスクが高いほど潜在的なリターンが高くなる可能性があるからです。
しかし、同様に多くの資金を失うリスクも高くなります。それを踏まえてでも、あまりあるリターンが期待できる状況ということです。

リスクの高い資産には、オーストラリアドルなどの資源国通貨、メキシコペソのような新興通貨、トルコリラのような高利回り通貨、株式などが含まれます。

リスクオフ

逆に市場が安全を求めている場合、それは「リスクオフ」であると見なされます。
経済の見通しが悪い、またはすでに景気が悪化している実感がある、発表された経済データがマイナスを示している、それに対して大衆が心理的に不安になったりして、市場価格の急変動が起こりやすい状況にあるなど、今はちょっと危ないんじゃないかと多くの人が感じる時は、市場環境のリスクは「オフ」のスイッチに切り替わります。

2008年に起こった記憶に新しい世界的な金融危機や、今現在のコロナウイルスによる世界的な経済危機などで、経済データがマイナスを示したりすることや、中東の紛争による地政学的混乱、クーデターなどによる政治スキャンダル、総裁選のような選挙の結果、大震災などの自然災害など、予想外なことや、突然のネガティブな出来事は、大衆の心理を不安にさせ、市場環境はリスクに対して「オフ」に切り替わる可能性があります。

市場がリスクオフの時は、トレーダーがリスクの高い取引をすることに消極的になります。リスクを回避するために、リスクの高い資産の売却し安全な資産(ボラティリティが安定している)を購入して、資産をリスクから守ろうとします。リスクの高い資産の急な価格変動や暴落、暴騰などの危険性を回避するためにトレーダーは安全な資産に資金を移動させたり、資金を市場から引き上げたりしていきます。一番安全な避難先は資産を現金化することです。そのため市場の流動性が一時的に低下することもあります。

一般的に安全と言われる避難資産は、アメリカ国債、日本円やスイスフラン。アメリカドルやゴールドなどが含まれます。

どうやってリスクセンチメントを知る?

「リスクに対しての大衆心理を気にしなきゃいけないことはわかったんだけど、どうやってそれを知ればいいの?」と感じている方も多いでしょう。
リスクオンとリスクオフ。
今はどちらなのか確認するときに参考にできるものをいくつか上げていきます。

まずは馴染みのある通貨からいきましょう。

アメリカドル
アメリカドルの上昇は「リスクオフ」に対するサインです。例えばアメリカドル(USD)がオーストラリアドル(AUD)などの資源国通貨に対して強い(AUD/USD下落)場合、市場は発表された経済データや景気の状況に対して、不安に感じている可能性があります。

リスクオフということは、トレーダーは安全な避難先に資金を移動しようとします。
「安全な資金の避難先としてのアメリカドル」の他に、アメリカ国債に資金を移動しようとしているトレーダーがいる場合、その国債を購入するためにはアメリカドルが必要です。アメリカ国内以外のトレーダーがこれを行う時には両替が必要ですから、多くのトレーダーが同時にこれを行うと「アメリカドル/USD」が上昇する原因となることがあります。

「購入のための両替」ですからリスクオフのムードが解除されない限り、購入したアメリカ国債を売ってそれを自国通貨に再両替する必要がありません。そのため一方的な動きになってしまうことがあります。後述しますが、そんな時はアメリカ国債の利回りを見てみるといいでしょう。

スイスフラン
スイスフランは安全な避難先としての通貨の代表格です。過去に世界の金融市場で起きた多くの危機にも、スイスは堅調に推移した実績があり、他国に比べ、政治や財政・金融政策の安定した経済を行っていると言われています。

ですので、スイスフラン(CHF)が高利回り通貨に対して強い(上昇)場合、リスクセンチメントは「リスクオフ」を示すサインとなります。
特にEURとの関係を見ておくといいでしょう。

日本円
私たちに一番馴染みのある日本円も「リスクオフ」を知らせるサインです。

アメリカドルと同様に、日本円(JPY)がオーストラリアドル(AUD)などの高利回り通貨に対して強い(AUD/JPY下落)場合、市場は発表された経済データや景気の状況に対して、不安に感じている可能性があります。

この時に注視したいのは「AUD/USD」と「AUD/JPY」の動きの違いです。(他の高利回り通貨とのペアでもOKです)
市場全体がリスクオフムードの中、経済データの発表がアメリカに関することで、それがあまり良くない場合、「AUD/USD」は動かないが「AUD/JPY」はよく動いていることがあります。これはアメリカドルに対する不安が先行し資金が日本円に流れ込んでいるからです。
「AUD/USD」が拮抗するのでリスクオフムードが弱まったと考えてしまいがちですが、他のリスクオフのサインとなる通貨も確認して、総合的に判断するようにしましょう。

もし逆に上記3つの通貨が弱い(下洛)場合は、「リスクオン」のサインとなります。
全て反対で考えてください。

続いてはFXトレーダーとしてはすこし変化球です。

米国株価指数
アメリカの株式市場指数は、是非注目してもらいたいリアルタイムの判断サインです。

確認して頂きたいのは
「S&P500」
「ダウ・ジョーンズ工業株価平均」
「ナスダック」
です。

この3つの指標は、世界経済全体の指標としての機能がある重要なものです。
見方は単純で、
「株価指数が上昇している場合はリスクオン」
「株価指数が下洛している場合はリスクオフ」
となります。

そんなもんでいいのかと感じられると思いますが、ここではFXをするにあたってのリスクセンチメントの方向を見るためのものなので、アメリカドルや日本円をベースにリスクオンかリスクオフかを判断した後の、補足的確認事項です。
詳しく知りたい方はGoogleさんに詳しく書いてありますので、そちらで調べてくださいm(_ _)m

VIXインデックス
上記3つの株価指数株式に対するリスクオン、リスクオフの度合いを補強するために、VIXインデックス(恐怖指数)を合わせて見ます。

このVIXインデックスというのは、S&P500の将来のボラティリティに対する市場の期待を表します。今後どれぐらい急変動する可能性があるのかというのを数値で示します。

VIXの動きが高ければ高いほど市場はより変動しやすく恐怖を感じる可能性があり、VIXの動きが低いほど市場の動きは落ち着いていて恐怖を感じる可能性が少ないというイメージです。

指数の見方は、VIXが30を超える値を与えると市場は不安定と見なされ、20未満は落ち着いていると考えられています。

アメリカ国債利回り
アメリカ国債の利回りが上がっていれば、市場がアメリカ国債を売っていることを意味します。それは債券を売ると価格が下がり、利回りが上昇する仕組みだからです。

アメリカ国債は基軸通貨を有するアメリカ政府が発行し、アメリカ政府が管理します。そのためリスクフリーに近いものだと考えられています。
ですので、市場がそのような「リスクフリーの資産を売っている」なら、トレーダーの感情は現在市場に危険度は少ないとして「リスクオン」へとシフトしていきます。

逆にアメリカ国債の利回りが低下している場合、これは市場がアメリカ国債を買っていることを意味します。それは債券を買うと価格が上昇し、利回りが低下するからですね。

「市場がリスクフリーなアメリカ国債を購入している」なら、トレーダーの感情は市場の危険度は高いと感じている、つまり感情が「リスクオフ」にシフトしていきます。

まとめ

ここに列挙した判断材料はもちろん完全ではありません。相場のこの先は誰にも予想できないのです。しかし、傾向を把握することでその後の動き方や様子見をするなどの判断材料に使うことはできます。

「絶対に安全」な資産はありませんし、
「完璧なリスクオフ」も存在せず、
「永遠のリスクオン」もやってきません。

リスクセンチメントは多くの市場参加者の気持ちの総意であり、偏りのことです。
「リスクオン」と「リスクオフ」は、その偏りがどちらに偏っているのかをわかりやすく言葉にしただけのもので、その言葉自体に市場価格を動かす力はありません。
経済の状況や世界情勢などから私たちトレーダーが感じたことが市場に反映され価格が変動していくので、たった一つのニュースで昨日まで長い間リスクオフのムードだったものが、リスクオンに急転することもあります。

ですのでリスクは常にあります。
そのリスクを回避、または利用するためにもリスクセンチメントを取り入れて見ましょう!

FXトレーダー daice

今回の内容はdaiceがこれまで学んできたことをdaiceの視点として書き綴っています。この通りにならないこともあれば、他のファンダメンタルトレーダーとは違った視点もあると思います。情報は情報として取捨選択していただければ幸いです。
今回の内容に沿った取引を行って被った損失や、享受した利益についてはdaiceは一切責任も持ちません。お取引は各自の責任のもと、ご判断されて行ってください。

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