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SHー60Kはなぜ「危険な夜間訓練」を実施するのか?

夜間訓練の理由

「なぜ?危険な夜間に訓練するのか」
「そんな危険な訓練はすぐにやめたほうが良い」

 あいも変わらず・・・
 軍事知識のない
 テレビや新聞の上で展開される
 頓珍漢解説報道のオンパレード
 ここを先途と
「批判のための批判」
 を繰り出すとある政治家
 不明隊員家族の心情を思いやる意識は?
 不明確な
発言などに目を覆いたくなる状態だ。

軍事音痴末期症状

知らない事は知らないと言えいないのは
知ったかぶりの小生も同様だが・・・
それでも今回の事故に関しては
小生は専門家の一員だ。
ただし・・・知っていることも
一般論や公開情報の範囲でしか発言できない。

トンデモ発言

エセ評論家や一部政治家の専管事項を
奪う理由も意思もない・・・
ただし未確認・不正確トンデモ発言で
一般の国民を混乱に陥れたり
②誤解を生じさせる
のは厄介であり
日本があらぬ方向へ舵を向けたら
危険ですらある。
 

小生は前にも申したが・・・

ヘンテコリンナ経歴管理のおかげで・・・
艦艇・航空機の両分野で勤務した
海自でも希少品種分類される変人である。

海上自衛隊要員区分の特性上
基本的には専門家の養成が主眼となる。

ただし・・・階級が上がると・・・
次第に一般企業で申せば総合職へ転換して行く
スタイルとなる。

小生はおかげさまで出生とは無縁である。
元々の出身職種も
お金がらみ経理補給職域なので
どちらの分野にも一枚も二枚も咬んで・・・
精通とは呼べなくとも
仕事に差し支えない知識は保持している。

経補職域は両分野に精通できる機会があるに
文系出身者が大半で技術音痴※が多い。

 ※経済にも理系の知識が必要だ・・・
 と日本国が気が付いたのはほんの30年前
 小生世代の経補職域は95%が文系頭だ
 小生のような理系出身の経補人間が希少品種
 な理由を理解していただけるだろうか?

経理補給分野も現在は理系が投入されつつある

 

そもそも論として

哨戒ヘリや護衛艦は
昼間のほうが
視認性は圧倒的に高い】とはいえない
 
レーダー上ならはっきりと位置が判別できても
よほど晴天の日中
海が荒れていない日ならともかく・・・

日本近海 春の海は低気圧が発生しやすく
荒 れ る
サクラが咲いて「お花見」

晴天が続いた春など小生の記憶にはない。

日本は赤道付近から離れた中緯度高圧帯にある。
日本付近の海洋はうねりも高く
昼間の視認性はそれほど高くない。

あえて質問する


「日本を侵略する意図を持った勢力は
 お天気の昼間に攻撃してくるのか?」
  
「今日は天気がいいので攻撃に行きます」
と予告してくるのだろうか?
 

なぜ夜間に訓練しなければならないか

たとえ危険度が高くても
夜間の訓練が重要な理由もわからずに
的はずれな議論を展開すれば
一体誰の利益に資するのか?

日本艦艇の色は鉛色

日本周辺の海は
一年の大半を鉛色の海に囲まれる
油を流したように波ひとつない海面
瀬戸内海だってそんな日は
年間に数えるほどしかない。

そのほうが目立たないから・・・
日本の艦船は鉛色の艦艇色を採用する。

どこの国の海軍や海上自衛隊であろうと
その海域に応じた
一番目立たない色を採用するのが常識だ。

視認性が悪い時に訓練するな

とは
そもそも【なぜ訓練するのか】という本質を
見失った本末転倒のまやかし議論だ。

米海軍やカナダ・フランス・スペイン・イタリア
などの艦艇は
日本の艦艇より明るい色を採用している
そのほうが目立たないからだ。
SH-60Kの塗装も本質的には
艦艇とおなじ理由で薄いグレーを採用する。

夜間訓練は危険だが

日本の哨戒ヘリコプターのパイロットは
護衛艦へ搭載されればほぼ夜間訓練を実施する。

哨戒ヘリコプターは当たり前だが
「付近の海洋を哨戒するヘリコプター」だ。
危険な訓練ではあっても
必要な訓練は実施する。

雨や風の強い日は危険だから飛行機は運航しない
もしもANAやJALのパイロットが
そんな理由で荒天時の訓練を怠ったら
なにが起きるのだろうか?

天候悪化や突発事象は予期せずに起こる。
予測可能なら無理な運航は控えるべきだが
突発事象に対処する技術力が必要なのだ。

こんな当たり前のことがわからない専門家を
評論家として雇うメディアは・・・
武士の情け・・・これ以上は言わない。

夜間に飛行しなければならない理由は

どちらかといえば潜水艦の特性からだ。
通常型の潜水艦は敵に見つかる危険が高い昼間は
浮上しない。
衛星や航空機から視認性が低下した夜間に
浮上して
「空気を取り込んだり」
「通信を実施する」

浮上といっても
船体すべてを海面にさらすとは限らない。
潜望鏡や空気が取り入れられる深度・・・
それこそが・・・
哨戒ヘリの活躍場面である。 

通常型潜水艦は
発電機を回すためには空気が必要だ。
充電した電池で進める時間は
速力を上げるとほんのわずかな時間だ。

全ての国が原潜を運航しているわけではない。

潜水艦の特性

原子力潜水艦には二種類ある。
ひとつは攻撃型の原潜であり
もうひとつは戦略型原潜だ。

攻撃型の原潜

他国の艦艇や商船に脅威を与えたり
自国の戦略型原潜を守るのが任務

戦略型原潜

自国の安全保障のため
核弾頭を装備したミサイルを運用する。
この潜水艦は秘匿性が高く滅多に浮上しない。

原潜はそのエンジンの特質上
一度潜航したらエンジンを止める事ができない。
原子力で発生させた熱を推進力へ替えるため
タービンを回す。
そのためどんなに静音構造を採用しても
音を完全に消す技術
は現代でも確立できていない。

海中と音


日中は太陽光が届く範囲の海水温は不安定だ。
海水の温度が安定する夜間こそ
潜水艦の正確な位置が探知しやすい。

水中で音は光と同様に屈折する。
温度や海域で到達距離や時間が変化する。

日本各地の防衛に重要な位置で訓練する理由は
他国の潜水艦に勝手気ままに日本の沿岸を
あらさせないためだ。

日本近海は商船や漁船が輻輳する海面が多い。
そのため訓練に使用できる海域は限られる。
民間の迷惑にならないように
細心の注意を払い
商船や漁船の邪魔にならない場所で訓練する。

近年中国海軍の測量船が頻繁に航行する

その理由は
この地域の海面特性とデーターを
中国海軍はほとんど持っていなかったからだ。
だからあわてていま日本周辺を駆けずり回って
データを収集している。
なにに慌てているのかは申すまでもない。

ヘリの特性

ヘリが潜水艦を探知する方法は
ソノブイとソナーが主力だ。
ソノブイはP-1やからも撒くことは可能だか
特定の位置へ速やかにピンポイントでソノブイ
を投下するのはヘリが一番効率が高い。

むやみやたらと撒かずに済むため
コスパにも優れている。

吊り下げ型のソナーには限界もある。
吊り下げるワイヤーは長くなれば重量もかさむ。

安定して位置をキープするホバリングは
海面から離れると上空の気流の影響で
位置が安定しない。
また伸ばしたワイヤは風の抵抗を受け
位置も変化する。
一定の高度と位置を保持する必要があるのだ。
その技量を維持するための訓練も重要である。

ヘリ自体が出す音も雑音になる。
そのためにあまり低空飛行できない
という事情もある。

回転翼航空機にこそできる小回りと特性
その部分の説明や特質と潜水艦の特性を
語らずに評論するのは乱暴だという理由が
ご理解いただけただろうか?

小生は「この記事を読んだらクレジットを明記」
なんてちんけなことは言わない。
ただしここに書いてある情報は
すべて

「一般人でも採取可能な情報だ」

専門家を名乗る以上はその程度の知識は
必要ではないのだろうか。

現在も発見されていない隊員の
速やかな救助を邪魔するのは・・・
報道ヘリや航空機が付近を撮影する必要は
あまり感じない。

行方不明隊員家族の心中を察することができる
それが日本の報道機関だと信じております。
 


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