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しゃぶ葉行ってきました

 ただ無性に肉が食べたくなった。だがスーパで買った程度では到底満たされぬ食欲。行くしかないか───しゃぶ葉……!!

 どうせ食べ放題に行くなら腹を空かせてからだ。

 明らかにピークタイムを過ごした13時30分、愛車を走らせてしゃぶ葉に到着した。

 車の台数が思いのほか多い。繁盛しているのだという安心感と、待たされる面倒さ。

(空腹のピークを持ってくるタイミングを間違えたか)

 結局30分ほど待ち、案内を受ける。

「1名でお待ちの原田様!」
  
 中年の女性が、席まで案内してくれる。僕の戦場は……まさか!!

「こちらのお席になります」

「あ……ありがとうございます」

 原田は動揺していた。目の前には鍋が2個置けるセットに椅子が8個だ。

(ぐっ……馬鹿め! ○○会か親戚の集まりの席じゃないか)

 

8人席に座る原田の図

 

 だが気を取り直してすぐに野菜を取りに行く。

 な~に、野菜さえ取れば食物繊維で後の肉はゼロカロリーだから(震え声)

 この8人席には利点があった。机が広すぎることもあるが、段差があるのでロボットが肉を運んでこないのだ。

 肉を注文しながら、到着までに野菜を取りに行ける。

今回のコース

「牛肉をひたすら食べてやる、元を取るしかない」

 食べ放題はいつだってそう、腹が膨れてきたあたりから後悔するものだ。

 だけど今日は後悔しない、何せお腹が減っているんだもん♪


牛肉が8皿やってくる

 最初はこう思った。

「こんなの楽勝、80皿食えるんじゃないの?」

 だが悲劇は起きる……

 馬鹿な原田は、香味野菜を大量に投入して結構腹を膨らませてしまっているのだ。

 ごまだれも美味い。ポン酢も美味い。野菜は無罪。これ正義。(Year♪)

 当然の天罰が原田の胃を襲う。肉への欲望を裏切った己へと香味野菜が襲い掛かる。

「まだ32皿しか食べていないけど……野菜の圧迫と肉が気持ち悪くなってきた」

 肉が進まなくなるのは年齢か、それとも野菜か。
 
 ひとつだけ分かることは、肉はこれ以上要らないってことであった……

「しゃぶ葉って何をする場所かって? そりゃお前、スイーツを食べるところさ」

 甘いものは別腹♪

 もうIHヒータの電源は落とした。今は鍋すら視界に入れたくないのだ。

(元ソフトクリーム屋の実力機が目の前にある!)

 原田は歓喜した。一度にソフトクリームを6本巻いて渡すことが出来る原田は、ソフトクリーム機を見かけると巻かずにはいられない。

(カップコーンがあればいいのに、小皿しかないや)

カップコーン(イメージ図)

 弘法筆を選ばず。

 原田はソフトクリームを丁寧に巻き上げると、横に白玉ぜんざい用のぜんざいがあった。

(へっへっへ、本当に好きなのはこれ。小豆が好きなお前はこれをかけずにはいられまい)

 心の中の悪魔が囁く。どうやら糖分漬けにしてやりたいらしい。

(へたっぴだな……へたっぴだよ原田君。君はソフトクリームを巻いて実力を見せつけたかっただけ! 本当に食べたいのはぜんざいさ)

 心の中のおっさんがぐさりと刺すようなことを言ってくる。

「ど……どこだ、僕の心の天使はどこにいる!? 僕を助けてくれ!!」

 原田は天使を待ち望む。

(野菜を食べたから、今日の糖分も0キロカロリーよ)

 心の中の天使はどうやら薬物の疑いがあるらしい。

 原田は結局ぜんざいをかけて食し、結局白玉ぜんざいも食べてしまったのだ。安心しろ、今日は0キロカロリーらしい。


ソフトクリームにぜんざいをかける男


なみなみと入れる白玉ぜんざい

 身体に満たされる圧倒的糖分
 餡子への欲望が満たされる音が喉を鳴らす。

「まあいいさ、今日は2,000円以下で肉を味わったんだ。上々だね」

「お会計は、2,089円になります」

「えっ……?」

 一瞬目を疑った。おかしい、ギリギリ2,000円を超えないはずだが……

 そうかしまった、今日は土曜日で料金が加算される。まあ110円ぐらいいいや。

 原田はのんびりと家に帰った。

 腹が満たされたら後は風呂で過ごしたい。

 ふと、風呂に入る前に鏡に映った腹が気になった。

(腹が随分と膨れ上がってしまったな。体重計に乗るのが怖い)

 流石にゼロキロカロリー理論が破綻しているのは、腹を見ればわかる。

 体重計に恐怖を押しのけて乗る。まるで踏み絵のような拒絶感に襲われながらも必死に足を乗せる。

「あっ……まあそうなるよね」

 夢のようなひと時と現実の体重計の数字は、まるで天国と地獄を感じさせてくれる。

「私って、食べても太らないんだよね~」

 こんなこと言う人は全員敵です。
 
 将来油断して太って下さい。

 それではしゃぶ葉さん、ご馳走様でした。

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