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【プレイ日記#2023 ~夏の終わり~】

今年は酷暑のせいで思うようにゲームをプレイ出来なかった。
結果的に『ライザ3』や『サマポケ』といった夏が舞台の作品を先取りしてプレイしておいて正解だったのかもしれない。
最近はすっかり気温も落ち着いてきたので、以前の頻度でゲームを楽しんでいきたい。
本数は少ないが、夏季中になんとかプレイした作品たちをまとめておく。

【7days to end with you 5】

2023年7月プレイ開始
総プレイ時間:約5時間

【ストーリー】★★★★☆ 4
【ゲームシステム】★★★★☆ 4
【キャラクター】★★★★★ 5
【音楽】★★★★☆ 4
【総評】84点

ある朝目覚めると記憶喪失になっていた主人公は、自分を看病してくれていた赤い髪の女性と出会う。
しかし、女性は謎の言語で話しかけてくるため、主人公(プレイヤー)は彼女が何を伝えようとしているのか全く理解できない。
本作は、彼女とのコミュニケーションを繰り返しながら、彼女が何を伝えようとしているのか、自分は何者なのかといったことを次第に理解できるようになっていく推理ノベルゲームのような形式になっており、何度か周回プレイを繰り返していくことで物語の全貌を知ることができる仕組みになっている。
初回プレイの際こそ何をすればいいのかわからず戸惑うが、言語の解読が進んだ先にある衝撃の展開には心底驚かされた。
温かみのあるドット絵と斬新なアイディアに惹かれてプレイしてみたが、本作でしか体験できない楽しさを十二分に楽しめたと思う。
ボリュームも手頃であり、ふとした時に遊ぶのに適したゲームであると言えるだろう。

【ゴースト トリック】

2023年7月プレイ開始
総プレイ時間: 約15時間

【ストーリー】★★★★★ 5
【ゲームシステム】★★★★☆ 4
【キャラクター】★★★★☆ 4
【音楽】★★★★★ 5
【総評】90点

『逆転裁判』スタッフの手掛けた新感覚のミステリー・アドベンチャーゲームであり、本作は元々はDSのソフトである。
余談だが、今まで世に出たDSのソフトを全て入手しているという筋金入りのコレクターがおり、その彼曰く「一番好きなソフト」が本作らしい。
それはさておき――

物語は主人公と、目の前にいた少女が死んでしまう所から開始し、主人公は「死者のチカラ」と言う不思議な能力を手にして、自分の正体や殺された理由といった全ての謎を解く為、「死者のチカラ」を使って捜査を続けることとなる。
心霊現象の「憑りつく」とミステリ要素の「トリック」を上手く掛けたゲームデザインは、令和の時代においても目新しく、そして非常に面白い試みとなっている。
流石にシステム的に厳しい面もちらほら散見するが、操作性は非常に快適であるため遊び易く、物語全体を通した謎解きのレベルも程よいように感じた。
登場キャラクターは『逆転裁判』シリーズのように一癖も二癖もあるキャラばかりなので、受け入れられないと少々厳しいかもしれない。
値段がお手頃なため、気になっているならプレイしてみて損はしない作品になっていると、僕は断言したいと思う。

【CRYSTAR -クライスタ- 】

2023年7月プレイ開始
総プレイ時間:約35時間

【ストーリー】★★★★★ 5
【ゲームシステム】☆☆☆☆☆ 0
【キャラクター】★★★★★ 5
【音楽】☆☆☆☆☆ 0
【総評】46点

僕が購入した際、本作はセール中で870円で販売されていた。
無知な僕は、てっきりインディーゲームの類だと思って購入するのだが、後に本作はフルプライスのゲームであることを知ってしまい、ゲーム起動時には全身に嫌な汗をかいていた。
しかし、シナリオは『Kanon』までKeyに所属していた久弥直樹氏が担当していることが判明し、少々安堵に胸を撫でおろしてもいた。
まぁ、その期待は、別の意味で大きく裏切られることになるわけだが……。

主人公の幡田 零(はただ れい)は2人で暮らしている妹の幡田みらいと共に「辺獄」という死後の世界に引き込まれてしまい、辺獄でみらいを死なせて絶望してしまった零は、双子の悪魔「メフィスとフェレス」から契約を持ちかけられ、妹の魂を取り戻すために辺獄の最下層を目指して進んでいくことになる。
陰鬱な世界観と容赦のない展開は。人によって好き嫌いが大きく分かれることにはなるが、全体的にわかりやすい王道的なストーリーに仕上がっているため、作風さえ受け入れられれば非常に楽しめる物語となっている。
また、流石は美少女ゲームのシナリオライターというべきか、登場人物は魅力的であり、どのキャラクターも親しみやすく感情移入しやすい。
水彩画のようなキャラクターデザインも素晴らしい。
「幡田 零=パンタレイ」や「メフィスとフェレス」の名からわかるように、哲学者や哲学の名称が随所に散りばめられており、その辺りのセンスも磨きがかかっている。
このように、本作のストーリーや世界観・設定は洗練されており、本来であればもっと評価されて然るべきの作品と呼んでいいはずだ。

では、本作の問題点――主に評価を落とす要因になっている致命的な点は何かというと、ずばりアクションゲーム部分である。
そもそも本作は、辺獄を探索しながら戦闘を行うアクションパートと、現実世界などで発生する会話から物語を把握するノベルパートに分かれている。
上述の通り、ノベルパートにおいての問題点は非常に少なく、ご丁寧にフルボイスでの収録となっているため、どの場面も臨場感に溢れている。
特に双子の悪魔の怪演には、思わず拍手を送りたくなってしまったほどだ。

戦闘も伴う辺獄の探索は至ってシンプルであり、『不思議のダンジョン』シリーズのように、ゴール地点を目指してダンジョンを進んでいくだけである。
しかし、無駄に長いダンジョン・バリュエーションの少ない敵ユニット・単調で調整不足を疑う出来の悪いアクションの数々……問題点を羅列すればキリがない。
正直、苦痛以外の何物でもなかった。
レビューサイトなどを参考にもしてみたが、やはり本作の評価を大きく落としているのはアクションパートで満場一致しており、(中には陰鬱な雰囲気を受け入れられない人もいたが)如何に大きな問題点を抱えているかが窺えるだろう。
また、BGMは非常に良質なのだが、マスターボリュームを最大にしてもほとんど聴こえてこなかったため、僕は全編をキャラクターボイス以外ほぼ無音でプレイさせられるハメになり、この点も苦痛を助長していた。

上質な食材を用意されておきながら、調理の段階で何もかもを台無しにした
アクションパート担当者の罪は大きいだろう。
ソシャゲの周回など、単調な作業でも虚無感を覚えない人であれば、本作のアクションも楽しめるかもしれない。

【パラノマサイト FILE23 本所七不思議】

2023年7月プレイ開始
総プレイ時間:約20時間

【ストーリー】★★★★★ 5
【ゲームシステム】★★★★★ 5
【キャラクター】★★★★☆ 4
【音楽】★★★★★ 5
【総評】93点

夏と言えば「ホラーゲーム」――という至ってシンプルな理由からプレイした本作だが、単刀直入に述べて今年遊んだゲームの中でも上位に挙げられる面白さであった。
開発はスクウェア・エニックスで、ゲームビジュアルからホラーゲーム感が漂っているが、実際のところホラー要素はほぼ皆無なので、ホラーが苦手な人でも楽しめる作品になっている。
ちなみに「パノラマ」ではなく、「パラノマ」である。

本作は、東京都・墨田区に伝わる「本所七不思議」に紐づけられた呪いを有する「呪詛珠(じゅそだま)」を手にした登場人物たちが、呪い殺した相手から得られる「滓魂(さいこん)」を入手し、各々が様々な理由で「蘇りの秘術」を得ようとする様を描いた群像劇となっている。
オカルトをテーマにした複雑怪奇なシナリオは、意外性はもちろんのこと、ゲームという媒体を最大限に活かした良質なミステリー作品に仕上がっており、プチプライスのゲームとは思えないような満足感を味わえた。

また、どこかレトロなキャラクターデザインやグラフィックも素晴らしく、特に2023年現在で30代~40代のプレイヤーには、本作の時代背景・設定が突き刺さること間違いなしである。
操作やコマンドも極力無駄をそぎ落としたシンプルなものになっており、物語を楽しむ上で余計なことをさせられる心配はなく、システムやUIも親切で使いやすい。
値段に反して非常に耳に残るBGMが多かった点も個人的に嬉しく、曲のテイストが昭和後期~平成初期の刑事ドラマを連想させるものであったり、今ではあまり見掛けなくなった喫茶店を思い起こすような曲があったりと、作曲者の遊び心に満ちている。

手の出しやすい価格でありながら、ここまでの完成度を誇る作品を生み出せるのは、流石スクウェア・エニックスといったところである。

また、本作は先日発表された「ゲーム大賞 2023」において優秀賞を受賞している。
おめでとうございます。

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