姉について

姉の思い出。
彼女は本質を理解できる人だった。

例えばお菓子作り。
うちに何もおやつがなくて困っていたら小麦粉からホットケーキを作ってくれた。ホットケーキミックスじゃなくても作れることを初めて知った。

例えば美容
顔の美醜がよくわからなくて、二重まぶたのことを絵を書いて説明してくれた。

例えば性欲
中学生になったらエロ漫画を貸してくれた。

その他いろいろ
無理やり写真モデルをやらされた(ぬいぐるみをもって笑顔)
歯向かうと蹴られた。

私は姉のこと全然好きじゃなかった。喧嘩はしなかったけど、楽しかった思い出もない。

彼女があまり本を読んでいた記憶がない。勉強もほとんどやっていなかった。でも成績は悪くなく、むしろいい方だった。

これが教育熱心な親だったら、姉にもっと勉強をさせたり、スポーツをさせたりしたのかもしれない。でも彼女は中途半端に放っておかれた。そのエネルギーはいつも宙ぶらりんにさまよっていた。中学生の頃はもっと何かを知りたくて、もっと何かをやってみたい、といった感じだった。よく母親に自分のことを話していた。そして同時に母親のことを大嫌いと反抗していた。
父親のことは大好きだった。でも父親は、無責任というか、全く教育という概念のない人だった。

もし、うちに金銭的余裕があれば、姉の人生は違っていたかもと思う。父親は会社にいて夜は遅く、家事育児は全部母親に任せっぱなしで、母はいつも厳しい顔をしていた。ちょっとかわいくて優秀な女の子が田舎でできることなんて限られていた。そんな環境が彼女のエネルギーの方向性を惑わせてしまったと、今振り返るとそう思う。



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