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23_09_21 僕たちはあの星へ逃げる?

優しい音楽が好きだ。
「優しい音楽ってなんだろう?」と考えた時に、最近はカネコアヤノ、羊文学のことを思い浮かべる。
ぐしゃぐしゃの頭で苛立ちに塗れながら布団を這い出る。ため息を漏らしながら、身体の些細な音に怯えながら、痛めながら、55分間小さな椅子と机に引っ付くことを7回も繰り返す。大なり小なり生活に戦いが強いられている時、優しい音楽はお守りになってくれる。
欲しい言葉を貰えなかった時、かけることができなかった時。なんとなく嫌なことが重なって、小さな傷が増えて、知らない間に膿んだりしてて、それが気持ち悪くって「もう嫌だー」ってなった時、優しい音楽はそんな自分を癒すための「よすが」になってくれる。(そんな自分とは全く別の世界が見たいと思って音楽を聴く時があるけどそれはまた別の話...。)

この2組がゴールデン帯の音楽番組に出演したり、大企業のCMに使われているのを見て、少しずつ世の中は良くなっているなんて思う。
普通にすること、普通に生きることが難しい人(それはもちろんハンデのある人も、マイノリティとされている人も、そうではない人も。)は自分も含めて、僕の周りにはたくさんいる。そんな僕らが社会とたたかうために、逃げるために、なにより些細なきらめきを見逃さないために。必要な音楽がメインストリームにあることは、希望であって、光だと思う。

RCサクセションに「やさしさ」という歌があって、清志郎は「誰もやさしくなんかない」とあの絞り上げるような声を張り上げてるわけだけど、聞くたびに「本当だよな」とおもう。

優しい人なんかいない。羊文学もカネコアヤノもきっとそれを知っているはず。
それでも、僕らの中に残った優しい部分を信じてくれている。
信じてくれているから僕らも誰かの優しさを少しずつ信じられるようになる。
優しい歌は世界を変えやしないけど、「生きづらいよね」って僕に言ってくれたあの人の生活が少しだけ良くなるんじゃないかと信じている。



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