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【詩】この言葉のうちに

きみのすべての いとしさを この言葉のうちに・・・
だが それは、かなわぬ おもい

与えられたこの 時間
いつか嵐がやってきて あなたを 渡り鳥に変えてしまう
その前に
きみのすべての いとしさを この言葉のうちに・・・

だが それは、かなわぬ おもい

<ふるえる瞳>・・・それはもう、あなた瞳ではない
<わずかに膨らんだ頬>・・・それはもう、あなたの頬ではない
<つりあげられた睫毛>・・・それはもう、あなたの睫毛ではない
<落ち着いた金髪>・・・それはもう、あなたの髪ではない

あのとき こちらをみた、孤独な目
——それもいまや、失われてしまった
ぼくはそこに、ぼくを認めた
おなじ、悲しみのなかを
ひとりで歩いてきて、いま、あなたと出会ったぼくを

ぼくの知らぬ時間をさまよった
あなたの 憂鬱な視線が
そのとき、光の束となって
わたしの目を蘇らせた

「返還セヨ、返還セヨ」

すべて幻想だ
この言葉も、あなたの瞳も
それはいつか 明らかにされるだろう
それとも?

あなたは待っているのだろうか
海の向こうから
丹念に拵えあげた幻想のひとつひとつを
やさしく——それとも、乱暴に?——
剥ぎ取る 
時の
救世主を?

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