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005 労災指定病院以外での受診

仕事中のケガや通勤途上のケガについては、労災保険給付を受けることができます。

ケガをしたら病院で治療を受けます。病院代は全額労災保険から給付を受けられます。これを「療養補償給付」と言います。いわゆる現物給付です。

ただし、この療養補償給付を受けることができるのは、労災指定病院だけです。
あなたが、もし、仕事中にケガをして真っ先に向かった病院が労災指定病院でなければ、治療費の全額を現金で支払わなければなりません。つまり10割負担です。
もちろん、労災給付は受けられますが、労災指定病院以外での受診は「療養費請求」と言って、いったん窓口で10割支払ったものを労基署に請求することで払い戻してもらう形式となります。

ここで、問題が発生します。
病院の窓口で支払った費用は全額戻ってきます。つまり実質ゼロ円なのですが、労災指定病院以外の病院に療養費を請求するための書類を作成してもらうのに「文書料」を取られます。
病院によって金額は異なりますが、2,000円~5,000円程度です。
この費用は、労災保険から給付を受けることはできません。
つまり、自腹です。
療養費だけでなく、休業補償給付の請求まである場合は、休業補償給付の請求をするつど、労災指定病院以外の病院から文書料を請求されます。

「じゃあ、労災指定病院以外の病院に行かなければいい」と思われますが、どこが労災指定病院かそうでないかはぱっと見分かりません。
ホームページで検索すればわかるのですが、ケガしたときにそんなこと調べることはまず有りませんよね。

対策としては、労災指定病院以外の病院に行ってしまった場合は、次の受診は労災指定病院に変更することです。

また、指定病院以外でも給付を受けることはできますが、あえて指定病院以外を選択しているのであればともかく、知らずに受診した病院が指定病院以外だった場合に不要な費用が発生するのは不合理です。
ここは、法律を改正するか、法改正をしなくても解釈や取扱いの変更をすることで文書料の負担を被災者にさせないようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか?

不利益を受ける人は限られていますが、被災する可能性は誰にでもあります。
こういう小さいことでも声を上げることが大切だと思います。


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