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ゆるやかな堕落

大学生になって3ヶ月が過ぎ、学校生活にも慣れてきた。私が通っている大学は出席が厳しく、毎回の授業で、学生証を機械に読み込ませないと出席したことにならない。本人がいてもいなくても、学生証さえあれば座学は出席したことになる。いてもいなくても変わらないのだと思いつつ、朝9時からの授業に間に合うよう、8時には家を出る。

大学の教室は、同期が全員入ったら空いている席がほとんどないほどぎゅうぎゅうで、大体いつも空気が悪い。

私はいつも教室の1番後ろの席を陣取り、後ろからみんなの様子を観察している。前の席の人たちはきちんと授業を聞いている人がほとんどで、成績上位者も多いが、後ろにいくにつれて、寝ている人、スマホゲームをしている人、Netflixを見ている人など様々だ。授業を聞いている人ほど成績が良いというのは納得であろう。

ここにいる全員が大きな志を持って大学入試に挑んだはずなのに、いざ大学生になると何かを忘れてしまったかのようにそれぞれの楽な道を選んでいく。

私も楽な道を進んでいる。親のお金で一人暮らしをし、授業中は適度に聞きつつ、スマホゲームをしたり寝たりして時間を浪費している。

実に時間の無駄だと思う。



友人関係も大きく変わった。高校三年間は、非常に濃密な関係を築いていたように思う。寮生活をし、24時間友人と過ごせば、濃密な関係になるのは必然だ。時間が経てば友人はできる、と思っていたのは関わり方が深かったからである。

大学に入って友だち作りに苦戦した。自ら話しかけないと、友だちは出来ないのである。人見知りであるということを免罪符にして、なかなか話しかけられずにいた。入学式で隣の席だった子とあともう一人だけ、しか友人はいない状態だった。

3ヶ月も経てば、友人の友人といった繋がりで顔見知りが増えていくのである。また、部活にも入った為、同じ部活の同期というものもできた。徐々に交友関係は広がっていくが、いずれも高校時代にできた友人とは違う関わり方であった。

友人、と呼べる人は数少ない状態である。全然仲良くないのに、適当に話しかけられる人だけが増えていく。



高校三年生の時から付き合っている恋人と遠距離恋愛をしている。長期休みしか会えない。毎日電話しているが、正直これから6年間続いていく自信が無い。新しい出会いがあって他の人に目移りしそうという訳では全くないが、元々恋愛感情が積極的に湧くタイプではないので、こんなこと言ったら恋人に殺されそうだが、正直、惰性で付き合っている感じである。かといって、別れる勇気も気力もないため、このままこの人と一生続いていければ楽だなと思っている。恋愛を積極的にする気はないくせに一丁前に結婚願望はある。いつからか、初期の感情の昂りは無くなってしまった。

相手の貴重な大学生時代を消費してしまっているのは非常に申し訳なく思っていて、相手が大学で新しい人と出会って私のことなんかさっさと忘れてくれれば良いのになと無責任に考えているが、(自分で言うのも難だが)相手は私に十分に惚れているらしくそうなることは想像できない。非常に申し訳ない。



何も分からない。

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