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1996年8月29日(木)《BN》

【南地区レストラン:桜庭 敦子・平山 裕美・布川 和人・沖本 蓮香・高松 準也・島 可南子】
「次あたりボス戦しますか」
「良いと思います」
 食後のデザートを楽しみながら桜庭 敦子が発した言葉を聞いて、沖本 蓮香が元気に返事を返した。ここはお昼過ぎの『南地区レストラン』。たくさんの冒険者や職員たちが美味しい食事を楽しんでいる。湘南爆走隊部隊のメンバーたちは本日の午前中新迷宮の地下1階を探索していた。そしてさすがに地下1階の探索にも飽きて来たので、そろそろボス戦を行い、地下2階に進もうと考えているのだ。
「地下1のボスってなんだっけ」
「えっと盾の巨人だったと思う。そんなに強くはないはず」
 地下1階のボス情報について全く調べていなかった高松 準也が質問し、それに対して平山 裕美が返事を返す。地下1階のボスは正式名称は大きな盾を持った巨人であり、名前の通りかなり大きな盾を持っている。この盾には魔力がかかっており、冒険者たちの物理攻撃や魔法攻撃を惹きつける能力を持っている。だが、魔法はともかく物理攻撃の引き付けについてはそこまで強いものではないので、新迷宮地下1階を普通に探索できるようになった部隊にとってそこまで脅威的な亜獣ではない。
「で、地下2階には噂のトレーニングルームがあるんだよね」
「後衛が暇なやつね」
 ボスを倒した後のことになるが、地下2階探索についてのことを布川 和人が口にし、それに軽くため息をつきながら沖本 蓮香が返事を返す。地下2階のボスは変わったヘルメットを被った男であり、地下1階の盾男に比べると格段に実力が高い。特にレベルの低い物理攻撃はこのヘルメットに吸い寄せられて無効となってします。なので、戦士は実力を上げる必要があり、そのためにかどうかはわからないが、トレーニングルームなる部屋が存在しているのである。この部屋はもちろん戦士の実力を格段に成長させるが、後衛の3人はすることがなく暇を持て余すのである。
「まあまあとにかく先に進みましょう。暇なのは3人で話し合って何とかしてください」
 軽い笑顔を浮かべて桜庭はこう言葉を発して、目の前のさらに乗っているケーキの最後の一口を口に運んだのであった。

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