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2024年5月21日(火)《GB》

《今日熊本は暑かった。日陰にいたのに日向にいる感じがしました。日陰キャラなので日向は辛いす》
【クスノキの谷:黒瀬 舞人・島津 奏音】
「はあ、はあ、はあ、はあ」
 地面に座って息を切らしている黒瀬 舞人は目を瞑ったまま空を見上げている。ここは立田山にあるクスノキの谷近辺の道路。先程まで全力でランニングを行っていた黒瀬だったが、限界まで走り終えた後で道路に倒れ込み、今は息を整えながら道路の脇に座り込んでいる。現在17時を少し過ぎた時間。本日午前中は戦士鍛錬場で仲間たちと一緒に鍛錬を行ったが、その鍛錬自体は黒瀬にとって体力的に消耗するものではない。幼い頃から母親からの指示で、毎日限界まで体を疲労させる程の運動を行っていたので、その効果で黒瀬は通常の同世代の男性とは比較できないほどの体力値を持っている。また、同じように全力で体を動かし、同じように限界状態で動けなくなっている同級生たちと比べると、その後の回復が明らかに早い。これは鍛えているからというのもあるのかもしれないが、それ以外にも何か原因があるのかもしれない。そのことのについて母親は何も教えてはくれなかったが、黒瀬は自分の体の中にある何かの違和感は小さい頃から感じていた。だが、それが何なのかは今でもわかっていない。
「良し。回復した」
 息を整えて立ち上がった黒瀬は、のんびりと歩いて帰ることにする。先程限界まで体をいじめたので、もうこれ以上は必要ないと判断した。まっすぐ帰ろうかとも思ったが、何となく気分が向いたので展望台に寄って帰ることにする。展望台に着くとまだ日が落ちてはいなかったので、夕焼け空にとても綺麗な風景を眺めることができた。あまりにも綺麗な風景だったので、黒瀬は時間を忘れてぼーっと風景を眺めている。どれくらいの時間が立ったのであろうか、だんだん空が暗くなって来たので、黒瀬は帰ろうと思い立つ。そして帰り道の方向に向かって少し歩いていると、そこに1人の女性が立っていた。
「おわ!」
 全く気配を感じていなかったので、まさかそこに人がいるとは思ってもいなかった黒瀬は思わず驚きの声を発してしまう。すると、その女性は笑顔を浮かべ話しかけてきた。
「驚かせてしまいましたか。ごめんなさい」
 そういって黒瀬とすれ違い、先程まで黒瀬が景色を眺めていた場所に移動していく。全く気配を感じなかったその女性に少し興味を持った黒瀬は名前だけでも聞いておきたいと思い、名前を尋ねる。するとその女性は島津 奏音と名前を教えてくれたのである。

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