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1999年7月15日(木)

【僧侶鍛錬場:根木 真季子・藤木 章司】
「そういえば昨日青田ちゃん水色球発現したよ」
「本当?昨日会ったけど何も言わなかったな」
 鍛錬の休憩中に藤木 章司が発した言葉を聞いて、根木 真季子は少し驚いた表情を浮かべながら答えた。ここは午前中の僧侶鍛錬場。本日もたくさんの僧侶が鍛錬を行っている。17期の僧侶は根木と藤木、そして本日は迷宮探索を行っている青田 祐里子の3名が現存している。昨日は根木が迷宮鍛錬日だったので、藤木と青田の2人で鍛錬を行っていたが、その最中で青田が水色の光球発現に成功したのである。それに触発されて藤木もかなり気合を入れて水球を出現させようと努力したが、まだ発現には至ってないのである。
「じゃあ私たちも頑張らないとですね」
「気合は結構入ってるんだけどな」
 真剣な表情で根木が声をかけて、それに藤木が笑顔で答える。そして2人で真面目に水色球の発現を目指したのだが、思い出したように根木が口を開く。
「私が先に水色球出せたら私と青田ちゃんのランチ奢ってください」
 急にこのようなことを言われた藤木は少しだけ考えた後で返事を返す。
「良いですよー。根木ちゃんが先に出来たら奢るね」
 別にランチを奢ること自体は大したことではないので、要望に対して了承をする。そしてその後で頭に浮かんだことを尋ね返してみる。
「俺が先に水色球を出せたら・・・」
「奢らなくていいですよ」
 当たり前のように返事を返した根木に対して、藤木は苦笑いを浮かべて、軽くため息を吐くのであった。

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