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1999年4月6日(火)


【熊大第3迷宮:ウィンドウズは98部隊】
「まだまだー!」
 肩で大きく息をしながら、宮内 純香からの回復を受けていた深山 政樹は、まるでサラリーマン金太郎なみの勢いで言葉を叫んだ。ここは熊大第3迷宮。本日もウィンドウズは98部隊は地下1階のボスの部屋へ訪れている。前回の探索までに菅原 泰造と遠山 華蓮はボスであるモグラをクリアしているので、残りは深山のクリアを待つばかりとなっている。そこで深山は連戦で先程5回目のモグラ退治を行ったが、流石に疲れている様子である。そこで、菅原がどうするかを尋ねると先程の叫び声を上げたのである。
「そんなに焦らなくても良いんだよ」
 笑顔を浮かべつつも軽くため息をつきながら遠山が優しく声をかけるが、深山はテンションが爆上がりしているようで、やめる気配はないようである。
「早くクリアしたい気持ちはわかるけど、俺たち暇なんだよねー」
 同じ戦士である菅原と遠山が言いにくいであろうセリフを魔術師の坪田 晃平が声をかける。坪田からすれば、ボス戦中は本当にやることがないので、今の状況が特別暇というわけではない。ただ、ボスをクリアした戦士は、他のメンバーがクリアするまでの間やることがなく暇となり、今の菅原と遠山がまさにそれに当たるのである。
「了解。じゃあ後1戦だけ」
 回復が終わり、村田 恋歌が物質回収から戻ってきたのを確認して、深山は立ち上がりながらこう口にする。そして、いつもの場所に移動し、壁画の口に右手を挿入する。
「すげえ良い女がいるんだよ」
 いつものようににやけ顔でモグラが出現し、深山は気合をいれてモグラに向かっていくのであった。

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