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1996年4月10日(水)《BN》

【熊大迷宮:チーム・カイシン部隊】
「みんな、お疲れ様でした。それでは回復しますのでいったんここでキャンプタイム」
 チーム・カイシンのリーダーである中島 一州が、メンバーにこう告げて、全員でキャンプの準備を始めた。ここは旧迷宮地下3階。部隊のレベルも上がり、地下3階の探索は問題なくなってきてはいたのだが、先ほど本鬼を含めた最強の亜獣が、最多の部隊構成で現れたため、かなりギリギリな戦いを強いられる。結果的には何とか勝てたものの、全員負傷している状態になっているのだ。ちなみに、キャンプといってもテントを張ったりするわけではなく、迷宮内での探索の中断時間が一般的にキャンプと呼ばれる。
「では、ケガがひどい順に・・・。まずは池田くん」
 そう言われて、池田 健太がまず回復の魔法を受けた。池田は罠解除士なので、本来戦闘には参加しないのだが、亜獣の数が多い場合は前衛の戦士だけでは防ぎきれず、後衛まで攻撃を受けることがある。後衛の中でも魔術師の松浦 さやかは物理防御能力が皆無に等しく、防具もおおよそ防具とはいえないようなものしかまとっていない。従って、亜獣が後衛まで侵入したときは、池田と中島でいかに松浦を守るかということが重要点になる。純粋な物理防御力としては、中島よりも池田の方があるのかもしれないが、中島は僧侶なのである程度固い装備を着ることができる。したがって、池田よりも被ダメージが少なくなるということのようだ。
「オッケー。じゃあ次は・・・村下くん」
 戦士の村下 伊織が次に呼ばれた。この後、川村 竜平、田辺 敦、松浦の順に呼ばれ、回復魔法を施した中島は最後に自分のケガを回復させ、次の敵との遭遇に備えたのである。

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