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1999年7月7日(水)

【熊大第2迷宮:>>1さん部隊】
「ところでつかぬことをお伺いしますが」
 大島 清吾が青色のレバーを倒すと出てくる亜獣との戦闘を行っているのを見ながら、森下 翼が思いついたように言葉を発し、そこにいる4人が視線を森下に向けた。ここは熊大第2迷宮。>>1さん部隊は本日も地下2階のトレーニングルームを訪れ、戦士の実力アップを行っている。現在は大島が戦闘を行っているので、それを残り5人で見守っている状況だ。戦闘が終わるまでは特にすることがない5人は何もすることなく戦いを眺めていたが、その状況で森下が口を開いたのである。
「人から聞いてくれとお願いされたので聞くのですが、皆様は付き合っている方はいらっしゃるんでしょうか」
「今聞く?」
 少し神妙な表情で森下が話し出した内容が、あまりにも冒険中にそぐわない内容だったので、即時に飯島 桜が突っ込みを入れる。他の3人もこの状況に少し失笑しているようだ。
「まあ、ほら、今することないですし」
 今の質問がこの場にそぐわないことを森下は認識していたが、今の時間は本当に他にすることがないので、思わず聞いてしまったのである。
「どうせだから答えるよー。桃はねー3次元にはいなーい」
 まずは大きい声で宮崎 桃が質問に回答する。3次元にいないということは2次元にはいるということなのだろうか。それはいないと同義だと理解する。
「私も特にいないかな」
「桜ちゃんに彼氏がいないのは謎でしかないけど、私もいません」
 現在付き合っている人がいないことを飯島 桜と宮崎 藍が申告する。入隊した時から冒険者の中でも圧倒的なルックスを持っている飯島であるが、これまで彼氏の存在を感じたことがない。何か理由があるのかもしれないが、それは深い闇の中である。
「私は一応いることになってます」
 最後に少しだけ恥ずかしそうに細川 舞美が返事を返す。これで全員質問に対する回答が終わり、森下は満足そうな表情を受かべた。そしてちょうどこのタイミングで大島の戦闘が終わり、部隊に合流する。この時、何か少し変な雰囲気は感じた大島であったが、特に気にせず次に戦闘を行う飯島とバトンタッチをしたのである。

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