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1996年3月30日(土)《BN》

【ハイライト:山口 可奈・太田黒 佳美・小林 みゆき・古川 美穂】

「応募数はとりあえず及第点でしょう」
「そこそこ良さそうな人物もチラホラいるわね」
 赤ワインを嗜みながら太田黒 佳美が発した言葉に山口 可奈も感想を続ける。ここはスナック『ハイライト』。たくさんの客が美味しいお酒とカラオケで盛り上がっている。冒険者組織教官である太田黒と山口、小林 みゆき、古川 美穂はとりあえず1ヶ月が過ぎた冒険者14期募集の募集状況をネタに一杯飲もうということになったのである。応募されてきた自己推薦書には応募者のアピールが多分に記載されている。中にはこれは本当か?という内容も含まれており、目を通すだけでもなかなか面白いものだ。ただ、1次審査はゼーレで行うので、この段階で気に入った試験者が1次選抜に合格するかはわからないのである。
「でも14期か。募集始めて7年経つのね」
「私らも歳取るはずだわ」
 ため息を吐きながら太田黒が言葉を漏らし、それを聞いた山口が笑顔で返事を返す。太田黒と山口は冒険者創設時から教官を行っており、その時点で太田黒は26歳、山口は24歳であった。なので現在は32歳と30歳ということになる。ちなみに小林は現在27歳で古川は26歳である。
「私1期で美穂は2期だから、なんだかんだで私らも7年冒険者組織と関わってるんだよね」
「いろんな人がいましたよねー」
 1期で戦士として入隊した小林と2期で僧侶として入隊した古川が昔を思い出しながら言葉を漏らす。
「そういえば元木さんと加藤さんって何してるんですかね」
「え?私らも全くわからない。いなくなった後は全く音沙汰なしだから」
「ちょっと闇を感じますね」
 自分たちが入隊した当時の戦士教官元木 美麗と僧侶教官加藤 愛奈は1993年に急に組織からいなくなっている。その後、どうしているのかという疑問を小林が口にし、それに対して山口が知らないことを答えた。そしてその全く情報がないという点に対して古川が少し恐ろしい表情で感想を述べたのである。

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