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1996年6月3日(月)《BN》

【新迷宮:黒髪てへトリオ部隊】
「何だこの亜獣」
「こんなの今まで見たことないですよね」
 目の前に出現した亜獣を確認した後で原田 公司が発した叫び声に、本田 仁が冷静に返事を返した。ここは新迷宮地下6階。本日も探索にやってきた黒髪てへトリオ部隊であるが、先週と同じように大塚 仁が鏡に設置している罠を解除すると、そこから亜獣が出現してきた。だが、そこから出てきた亜獣は今まで見たことのない亜獣であり、少し異様な雰囲気が漂っているのである。
「これって、あれだよな」
「うん。多分そうだと思う」
 思わず前田 法重が言葉を漏らし、それに中島 一州も返事を返した。どう見ても某テレビ局のキャラクターであるガチャピンとムックに酷似した亜獣が目の前で楽しそうに戯れている。こちらの存在に気づいていないのか、別に攻撃してきそうな気配はない。ここで中尾 智史が質問を口にする。
「どうします?前田さん」
「どうするも何も、戦うの一択じゃないのかな」
 この前田 法重の一言で全員が戦闘準備を開始する。その雰囲気を察したのか、亜獣たちも戯れるのをやめ、少しやる気を出してきたようである。
「TNT爆発」
「無効」
 いつものように本田のTNT爆発と中島の無効の呪文から戦闘が始まり、戦士3人は直接戦闘に入る。結果的にこの亜獣は戦闘力がそこまで大きくなく、特に苦戦することなく撃破することが出来た。
「物質回収します。何なんすかね」
 疑問を呈しながら大塚 仁が物質回収に向かい、残ったメンバーは今の状況について話をする。
「前回は今までに遭遇した亜獣だけでしたよね」
「今日のは遭遇してない亜獣だったな」
「明らかにガチャピンとムックだったってところが気になりますよね」
 話し合う中で中尾、前田、本田が順番に考えを述べる。もちろんこの1戦で結論は出ないだろうが、この鏡から出てくるのは今までに遭遇した亜獣だけであるというのは否定されたのである。
「何が出てくるか楽しみではあるよね」
 こう中島が発言したタイミングで大塚が物質回収から戻ってきたので、気持ちを落ち着けた後、次の亜獣を出現させることにした。結果、本日は先ほどの戦闘とは別に5回亜獣を出現させたが、その内の4回は今までに出現していたの亜獣で、残り1回は何かどこかで見たことのあるような怪獣らしきものが出現したのである。

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