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2024年5月7日(火)《GB》

《ねえの漢字は姉だと思うけど、姐にしてみました。姐さんにすると何か少し艶っぽいですよね》
【僧侶試験場:結城 香純・榊村 亜弥・山内 亜弓】
「では休憩は終わりにして、後半戦に入ります!現在僧侶は課題クリア者が2名です。集中して課題クリアできるように頑張りましょう!」
 試験場全体に聞こえるような大きい声で山内 亜弓が指示を出し、休憩していた受験者達は各自気合いを入れた表情を浮かべて鍛錬を再開した。ここは僧侶試験場。本日は2次試験の4日目である。昨日でゴールデンウィークも終了し、世間的にもいろいろな活動が開始されており、冒険者組織も本日から運営が再開されている。2次試験も前回から4日間は空いたが、本日4日目の試験が行われているのだ。今の時点において僧侶で課題をクリアしているのは、結城 香純と榊村 亜弥の2命であり、他職業だと魔術師が2名、罠解除士が1名課題をクリアしている。
「へー、亜弥さんは家が神社なんですね」
「そうなの。だから高校卒業してから実家の神社で巫女をしてたんだけど、修行名目で冒険者試験受けてこいって言われてきたんだよね」
 すでに課題をクリアしている2人は基礎体力作りや精神の集中力を養うぐらいしかやることがないので、軽く体を動かしながら結城が質問し、それに榊村が返事を返した。榊村は福岡にある小さい神社の家に生まれ、神社の娘として小さい頃から家の手伝いや、行事の手伝いなどを行ってきた。そこの流れで高校を卒業してからは巫女として神社を手伝っていたのである。ただ、神社自体は2つ上の兄が継ぐであろう話になっているので、榊村には嫁に行くまで、すなわち実家にいる間は神社を手伝うように言われていたのだ。だが、今回急に父親からこの冒険者試験を受けるように言われて、榊村も少し動揺しているのである。ただ、父親の命でもあるので合格はしたいと思っていたので、課題をクリアできたことで非常に安心感を感じているのだ。
「そうなんですね。何か素敵です。あのー、亜弥さん私、兄弟がいないので、亜弥さんみたいなお姉さんがいたらいいなってずっと思ってたんですよ。私のお姉さんになって欲しいです」
「うん?そっかそっか。私も妹はいないから欲しいと思わんこともないから、いいよ。亜弥姐って呼びなよ。私は香純って呼べばいいのかな」
「香純でお願いします。亜弥姐!」
 お願いを快く受け入れてくれた榊村に対して、結城は満面の笑みを浮かべて、元気に返事を返したのであった。

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