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1996年10月12日(土)《BN》

【道:前田 法重・中島 一州・原田 公司・大塚 仁・中尾 智史・本田 仁】
「いやーメークドラマでしたよね」
「嬉しくも何ともねえけどな」
 少し上機嫌で発した本田 仁の言葉を聞いて、前田 法重は不機嫌そうに返事を口にした。ここは居酒屋『道』。本日もたくさんの客が訪れており、店内は盛り上がった雰囲気である。前田と顔見知りのメンバー達もいつものように飲み会を開始し、すでにかなりの量のアルコールを消費している。10月6日の日曜日にプロ野球巨人対中日の試合が行われ、これに巨人が勝利したことでセ・リーグの優勝を決めた。シーズン中は広島が独走しており、巨人との差は最大で11.5ゲームあったのだが、見事にこれをひっくり返して優勝を決めたのである。このことを長嶋監督が“メークドラマ”と命名し、この言葉はこの年の新語・流行語対象にも選出されている。まさに巨人ファンとしては盛り上がりに盛り上がった終盤戦であるが、広島ファンからすればたまったものでもなく、広島ファンの前田としては悪夢と言えるほどの終盤戦だったのである。
「まあまあ前田くんしゃーないよ」
「そうですよ前田さんアムロありますよ」
 軽く前田の肩を叩ききながら中島 一州が慰めの言葉をかけ、大塚 仁もこれに続けた。もちろん前田も仕方がないことはわかってはいるが、ほぼ優勝だと思っていたのが覆ったことは広島ファンにとっては辛いことだったのである。
「まさに最終的に勝てば良かろうなのだーってやつですよね」
「別に姑息な手を使ったわけじゃないですよ」
 大差を覆しての勝利に原田 公司が某ボスキャラの言葉を引用して叫び、それを聞いた本田が冷静に突っ込みを入れたのであった。

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