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1996年6月6日(木)《BN》

【熊大迷宮:いつかは最強いつでも最強部隊】
「物質回収してきます」
 戦闘を終えた戦士3人とすれ違いながら宮本 紳がこう声をかけて、倒された亜獣の元へと向かった。ここは熊大迷宮。いつかは最強いつでも最強部隊は本日も地下2階を訪れている。いつものようにボスの部屋へ繋がる扉の罠と、階段にかけられた罠を宮本が解除を試したが本日も解除は出来なかった。毎回解除できず悔しい思いをする宮本であるが、>>1さん部隊の森下 翼もまだ罠解除出来ていないという話なので、そこまでダメージは大きくない。ただ、勝手にライバル視している森下に負けたくないのは確かであり、何とか先に解除したいとは思っているのである。ただ、周りのメンバーはそこまで解除に期待しているわけでもないので、解除出来なくても特に厳しいことを言われることもない。
「じゃあ順番に回復しますねー」
 戻ってきた戦士3人に対して鹿本 芽衣が声をかけて福永 菜月、前村 亮二、藤井 淳紀の順番で回復を行う。先程出会った敵は巨兎3体と鍛冶屋4体であり、数が多かったのもあり、結構ダメージは喰らっているようである。
「回収終わりましたー」
 物質回収を終えて宮本が帰ってくる。回復はまだ終わっていないので、しばらくは回復待ちの状況だ。
「ところでこの後どうする。まだ狩る?」
 隊長の藤井が回復を受けながら全員に質問を投げかける。先程の戦闘で本日は5回亜獣と戦っている。おそらく回復もそろそろ尽きる頃であり、戻る途中に遭遇する亜獣のことも考えるとそろそろ撤退しても良い頃合いではある。
「今日はもう良いんじゃないですかね。まだ魔法自体は打てますが」
 そろそろ帰りたいような表情を浮かべて大河原 美沙が提案する。この言葉に対して全員がもう帰っても良いと考えているようである。そこで藤井は本日はこれで探索を終えることを決断する。そして回復が終わり、立ち上がると全員に向かって声をかけた。
「じゃあ帰ろうかね。いくぞ。みんな」
 こう言って全員が動き出そうとしていたが、宮本だけが何か考え込んでいるようであり、その場に立ち止まっている。
「宮本くん。どしたの?」
 いつも部隊の最後をついて行く大河原が宮本に声をかける。すると宮本は何かにやけているようだ。
「みんな、って言葉は素敵ですよね。その中に僕も入っているんですよね」
「今更?」
 思いの丈を口にした宮本は満足げな表情を浮かべて軽い足取りで移動を始める。それを見た大河原はなんとも言えない表情を浮かべてその後をついて行ったのである。

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