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1996年5月21日(火)《BN》

【熊大迷宮:>>1さん部隊】
「俺前々から疑問に思っていることがあるんだけど」
 戦士と魔術師の亜獣と戦闘し、圧勝した>>1さん部隊の隊長森下 翼が思い出したように口を開いた。ここは熊大迷宮。>>1さん部隊は本日も地下2階の探索を行っている。
「どうしたんですか?」
 たまたま隣に立っている僧侶の宮崎 藍が聞き返すと、森下がこのようなことを話し始める。
「亜獣に驚かされた。ってあるじゃん。先に亜獣に見つけられて、こっちが気づいていない状態。たとえばさっきの状態なんだけど、その状態からいつも魔術師って俺らに物理攻撃をしかけてくるんだよね。あれって無駄じゃね?というのと、何でその状態で魔法を使わないのかってのが疑問」
 この森下の疑問を聞いていた全員が、一瞬考えるそぶりを見せたが、一番適切な答えを出せそうな人物に視線を向けた。魔術師の細川 舞美である。
「そうですね。同じ魔術師としての意見を言わせてもらえば、敵を驚かした状態で魔法を使わないのは、亜獣はともかくとして、私はその状態で魔法をつかうのは良くないと指導を受けました。物理攻撃と違い、気配を察知されるので、結局呪文詠唱が終わる前に見つかってしまうとの事でした。それであれば、戦士系の攻撃が終わるまでのんびり待っているほうが効率が良いと。それとなぜ亜獣は物理攻撃をするかなんですけど、亜獣は私たち見たいに他職業と部隊を組んで連携とかするわけではないので、攻撃をするしかすることがないからじゃないですかね。まあ確かに無駄だと思いますけど」
 細川の話が終わるか終わらないかというタイミングで戦士の大島 清吾の後方から魔術師の亜獣が3体攻撃を仕掛けてきた。
「ふん!」
 まさに亜獣に驚かされた状況ではあったが、大島の剣の人薙ぎで、魔術師3体は消滅してしまった。
「やはりこれって・・・」
「無駄ですよねえ・・・」
 森下と藍は顔を見合わせて、何とも言えぬ表情を浮かべた。

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