見出し画像

1999年4月26日(月)

【熊大生協:鳥海 新一・寺川 紗耶佳・山木 可奈絵】
「お疲れー、ここ空いてる?」
「空いてるよ。どうぞどうぞ」
 お昼時でたくさんの大学生が訪れている生協食堂で1人昼食を食べていた鳥海 新一であったが、寺川 紗耶佳と山木 可奈絵に声をかけられ、丁寧に返事を返した。すると寺川と山木がテーブルの反対側に並んで座り、笑顔を浮かべる。
「午後は講義あるの?」
「あるよー。3限まである」
 まだ食事を始める前に寺川が質問してきたので、これに対しても正直に返事を返す。鳥海は今日は3限の講義を受ければ今日は終わりになるのである。それを聞いて、特に反応することもなく、2人はランチを食べ始める。鳥海は先に食事を食べ終えたが、まだ3限の講義が始まるまでには時間があるので、ここで少しのんびりすることにする。
「そういえばさ、入学式の日にサークル勧誘の場所にいたじゃん。結局入ったの?」
 ふと思いついたことを鳥海が質問してみる。
「うん。入るって決めてたから2人とも入ったよ」
 オレンジジュースを口にした後で、山木が返事を返す。2人は元々熊大の某サークルOに興味を持っていたので、入学式の日もブースを訪れたし、その後部室を訪れて正式に入会したのである。
「鳥海くんは何かサークルとか入ってるの?良かったら入る?」
「え?」
 いきなり寺川の勧誘を受けて一瞬動揺する鳥海だが、正直そのサークルには興味がなかった。
「いや、俺冒険者に申し込んでて一応1次試験とやらに受かったんだよね。だからそっち頑張るよ」
 一応それらしい理由をつけて勧誘については断る鳥海であったが、これを聞いて2人は驚きの表情を浮かべる。
「え、鳥海くん冒険者申し込んでるの?私らもだよ」
「私らも1次試験は合格してる」
 まさか3人全員が冒険者に申し込んでおり、1次試験も突破しているとは全く想像していなかったので、この後3人は興奮しながら今後のことについての話で盛り上がるのであった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?