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1996年4月27日(土)《BN》

【道:前田 法重・佐々木 雅美・原田 公司・富田 剛・大塚 仁・中尾 智史・本田 仁】
「来週から14期試験が始まりますね」
「後、ゴールデンウィークでもありますな」
 宴会も中盤戦を迎え、思い出したように富田 剛が発した言葉を聞いて、本田 仁が補足事項を口にした。ここは居酒屋『道』。本日もたくさんの酒好きが集まって美味しい料理と酒を楽しんでいる。前田 法重キングダムのメンバーたちもいつものように集合し、いつものように宴会を始め、すでに大量のアルコールを消費している。先日14期試験の1次試験発表が終わり、来週の火曜日からは2次試験が開始される。既存の冒険者にとって試験が行われていること自体はあまり関係がないのであるが、やはりどんな受験者がいるのかは気になるのは気になるので、こっそりと見学に行ったりすることも多い。富田に至っては2次試験初日の体力測定で着る女性ジャージ姿が好きすぎて、こっそり見学に行ったり、しばらくはなぜか測定員として堂々と試験風景を眺めていたのである。だが、8期試験を最後に測定員に呼ばれなくなっており、9期試験以降はこっそり見学にも行かなくなったようだ。理由は詳しくは語られてはいない。
「14期どうでしょうかね。偶数期だから多少レベルは高いと思いますが、13期ほどはないかな」
「13期が少し優秀すぎですよね。奇数期とは思えないっす」
 まだまだ飲む気満々の原田 公司が14期についての話題を出し、それに負けじとまだまだガンガン飲む勢いの中尾 智史が返事を返す。現在奇数期は10月、偶数期は5月に2次試験が行われており、新卒のタイミングが偶数期にかかることから、一般的には偶数期のレベルが高い傾向にある。ただ、1期は初募集であることと、2期は募集が4月だったことから新卒が募集できず、その分3期のレベルが高くなっている。なので、1期、3期、4期以降の偶数期、13期はいわゆる当たり期と言われたりもしているのだ。
「まあ、それは入って来てからのお楽しみということにしましょう」
 笑顔でこう話した佐々木 雅美の言葉を聞いて、全員が納得の表情を浮かべる。この後はいつものように何の生産性もないつまらない話で盛り上がるのであるが、冒頭本田が口にしたゴールデンウィークについては最後まで完全スルーされるのであった。

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