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1999年3月30日(火)

【北食2階:谷口 竜一・大塚 仁・本田 仁】
「結構簡単に見つかるかと思ってたんだけどね」
「読めなかった。この谷口の目をもってしても!ってやつだな」
 食後のコーヒーを口に運んだ後、谷口 竜一が言葉を発して、それに大塚 仁が笑いながら突っ込みを入れた。ここはレストラン『北食2階』。本日谷口は久しぶりに冒険者組織本館内での業務だったので、大塚と本田 仁を誘って一緒にランチを食べているのである。この3人は同じ年に熊大に入学し、同じサークルにも属していた。また冒険者としては3期生として同じ部隊にも属していたので、まさに強敵と書いてトモと呼ばせるような間柄なのである。谷口は1995年に冒険者を引退しており、その後は組織職員として多忙を極めている。現在谷口が行っているのは相変わらず組織の情報系業務一般であるが、それを行うかたわらで新しい迷宮開放の条件を調べているのである。昨年の5月に第3迷宮に繋がる扉が開き、現在3つの迷宮が存在しているが、まだ開いていない2つの扉が存在しており、その奥に新しい迷宮があると考えられている。だが現在その扉を開くヒントは全く入手できていないのだ。
「予測だとARINAの扉が第4迷宮でGATEの扉が第5迷宮なんだと思う。予測の範囲でしかないけど」
「第1迷宮と第2迷宮の関係を考えると、第4迷宮は第3迷宮と同じ属性になるから、俺らが次に向かうのは第5迷宮ってことになるかな」
 難しい表情で谷口が言葉を漏らし、それに本田が考えを続ける。ここ数年探索らしいことを行えていない黒髪テヘトリオ部隊は、早く次の迷宮が見つかって欲しいと日々考えているのであるが、現在の谷口の情報からすると、まだしばらくは第2迷宮での単なる亜獣狩りが続くようである。この後、谷口は仕事に戻り、本田と大塚は何となくであるが『AXIS』に向かう。向かう途中でそもそも『AXIS』でご飯食べれば良かったんじゃねと笑いながら話し合う2人であった。

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