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1999年4月30日(金)

【熊大第1迷宮:カードキャプター部隊】

「まだ結構無理っぽいです」
 目の前の扉の罠解除をしばらく行っていた高村 佳子であったが、解除することができず、このように報告した。ここは熊大第1迷宮。カードキャプター部隊は本日も地下2階を訪れて、階段から見て西側の探索を行っている。今は奥にボスが存在する扉の前にいて、その罠の解除を高村が試していたところである。だが、罠は解除できなかった。
「了解。まだちょっと厳しそうだね」
 報告を受けて外口 デニムがやさしく返事を返す。時期的にもまだこの罠を解除出来るには時期尚早ではあるので、全員が解除できなかったことに対して不満に思うようなことはない。だが、高村は解除できなかったことが悔しかったらしく、肩を落とす。それを見て田辺 睦美が優しく肩を叩いて励ましているようだ。
「じゃあ探索を再開するよ」
 この外口の言葉で、部隊は移動を開始する。この場所から南に少し進んだ西側に扉がある。
「奥に亜獣。5体です」
 亜獣の気配を探知した高村の言葉を聞いて外口は扉を開けることを決意し、坂口 忍に目配せをする。するとそれに気づいた澤口は勢いをつけて扉を蹴破り、中へと侵入する。
「汚物は消毒だー」
 扉の奥には5体の屍体が存在し、何やら大声で叫びながら辺りを彷徨いている。
「殲滅」
「催眠」
 屍体の存在を確認し、大下 界が殲滅、田辺が催眠を唱えた。
「何?ちっきしょー」
 殲滅の効果により、1体の屍体が消滅し、2体の屍体が逃走する。残り2体の屍体は催眠の効果によってお眠状態になり、1番先頭にいた澤口が簡単に2体ともにトドメを差した。
「物質回収しますー」
 戦闘終了に合わせて高村が物質回収をはじめ、この戦闘ではダメージを受けることもなかったので、他のメンバー達はただ物質回収が終わるのを待つことにした。この後はもう少し西側エリアを探索し、ある程度の戦利品を確保した上で本日の探索を終了することにしたのである。

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