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1996年8月31日(土)《BN》

【道:前田 法重・中島 一州・原田 公司・大塚 仁・中尾 智史・本田 仁】
「ということで、そうなりました」
「一蓮托生ってやつやな」
 今までの話をまとめた大塚 仁の言葉を聞いて、原田 公司が思った事を口にした。ここは居酒屋『道』。本日もたくさんの客で店内は賑わっている。前田 法重とその付き人たちも、8月最後の土曜日を祝って大量のアルコールを消費する通常運転を行っている。昨日富田 剛や松浦 さやか、相川 まことと一緒に『ル・ミディ』話した内容で、今後この『道』の目の前に建設中の通称“富田ビル”の3階に住むことになることと、結婚式を富田と合同で行うことを先程報告したのである。結婚式も住む場所も同じとなると、そんじょそこらの先輩後輩以上の関係となるので、それを一蓮托生という言葉で表現したのであろう。
「まあ住む場所は『道』の目の前だから便利は便利だと思うけど、結婚式はどうだろう」
「結婚式を合同でやるのは聞いたことがないっすね」
 先程の報告の中の、今後住む場所についてはある程度理解ができる事を前田が口にし、結婚式については多少疑問が残ることを中尾 智史が述べた。今まで同じ冒険者や大学の先輩後輩など、たくさんの結婚式に招待されたが、合同で行う結婚式には参加したなことはなく、そのような事が行われたことも聞いたことがない。ただ、確かに物理的には可能なので、やろうと思えばやれなくもないのである。
「ほら、別々に2回行くの面倒じゃないですか」
「いや、結婚式だから、面倒とかの話じゃないよ」
 少し笑いながら大塚が言葉を発して、それに中島 一州が軽く突っ込みを入れた。結婚式はその人の人生における一大イベントであり、それに参加するのは面倒とかそういうものではない。ただ、たとえば10人ぐらいの知り合いが結婚することになり、日付が10日連続とかになると、確かに面倒な感も出るかもしれないし、だったらまとめてやれよ!って思わないこともないかもしれない。
「日付は11月頭ぐらいを予定してますが、はっきり決まったら招待状送りますね」
「了解!じゃああらためてかんぱーい」
 話をまとめた大塚の話に、この中では唯一の同級生である本田 仁が改めて乾杯を叫んだのであった。

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