2024年6月6日(木)《GB》
《富田、江田、新井は現在2回生で羽田と奥野は3回生です。分かりにくいことこの上ない》
【魔術師鍛錬場:富田 水無・江田 富夫・羽田 琴美・新井 智弘】
「あ、俺も出来た」
目の前の光球がいつもより派手に爆発するのを見て江田 富夫が言葉を発した。ここは午前中の魔術師鍛錬場。本日もたくさんの魔術師が鍛錬を行っている。68期魔術師のメンバー達も、本日探索を行っている奥野 恵美を除いて、朝から一緒に鍛錬を行っている。通常68期生がこの時期に習得する魔法は大爆発であり、5月末に富田 水無が最初の習得者となった。そして次の習得者を目指して68期の魔術師たちは日々鍛錬を行っているのである。そして本日探索を開始して30分程度経ったあたりで羽田 琴美が大爆発の呪文に成功し、全員で祝福を行った。これで何となくやる気に火がついた江田と新井 智弘は気合を入れ直して鍛錬に集中し、先程江田が大爆発の呪文に成功したのである。
「江田くんおめー」
「ちくしょー。富夫に負けた」
近くにいた富田が祝福し、新井は悔しい叫びをあげる。これで68期の魔術師は5名中3名が大爆発を習得したことになった。一般的な習得速度よりはやや早いペースであり、68期のレベルの高さが窺える。
「俺も今日中に成功してやる」
やる気MAXの状態で新井が鍛錬を始め、集中して光球に神経を注ぐが、何度やっても通常の爆発しか発現しない。どうもまだ大爆発の習得には時間がかかるようだ。
「まあ、どんまい」
その状況を見て羽田が声をかける。それを聞いて新井は大きなため息をついて少し肩を落としている。それを見かねて富田が声をかける。
「でもさ、これでもし新井くんが大爆発成功したら、出来ないのが恵美さん1人になっちゃう。急に今日3人いきなり成功はちょっと可哀想だと思う。だから、明日から恵美さんと一緒に大爆発目指せばいいんじゃないかな」
今日大爆発を習得しないメリットを聞いて新井は少し考える。確かに明日鍛錬場にやって来て自分だけ大爆発が出来ないとわかると奥野が不機嫌になることは容易に想像できる。こう考えた新井は大きく息を吐いて、本日中に大爆発を目指すのはやめにして、この後は冷気系の呪文の鍛錬を行うのであった。
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