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2024年5月10日(金)《GB》

《理想の部隊編成は戦士が男性2名女性1名、罠解除士は男性、僧侶と魔術師は女性。しっくりきます》
【僧侶試験場:結城 香純・榊村 亜弥・湯田 哲雄・梅原 幸喜】

「えー、もうそんな話とかするんですね」
「だって、発表あってからだと残りものになるかもしれないじゃない。まあ残り物には福があるかもだけどね」
 驚きの表情を浮かべながら発した結城 香純の言葉を聞いて、榊村 亜弥が理由を詳しく説明した。ここは僧侶試験場。本日は2次試験の最終日である。僧侶受験者もすでに4人の課題クリア者を出しており、5人目のクリア者になるべく6人の受験者たちが必死に鍛錬を行っている。すでにクリアしている結城と榊村、湯田 哲雄、梅原 幸喜は先ほどまでのんびりと別メニューを行っていたが、現在少し休憩の最中である。来週の月曜日に合格発表が行われ、話によるとその夜に豪華な祝賀会があり、そこで他の職業の合格者と交流を深め、一緒に部隊を組むメンバーを見つけることになる。ただ、現在の時点でほぼ合格者は検討がついており、能力が上位であるという噂のメンバーには早めに声をかけておいて、今後の部隊編成が円滑に進むように努力をしているのである。
「香純ちゃんは知り合いとか誰もいないの?」
「一緒に受けた人とか」
 お手洗いから戻ってきた湯田 哲雄と梅原 幸喜が話に入ってくる。それを聞いて結城は困ったように返事を返す。
「私、受験者で知っている人いないんですよ」
 4月に人吉から出てきて、大学での友達は数人出来たが、冒険者を申し込む段階では知り合いはおらず、その後、他の職業のメンバーとの交流もないのである。
「俺は友達と一緒に受けたからな。受かればそいつとは同じ部隊の予定」
「俺もサークルの先輩と一緒に受けたから同じかな」
 自分の状況について湯田が口をひらき、梅原がそれに続ける。2人とも知り合いと一緒に冒険者に申し込んだので、一応知り合いがいるということになるのだ。
「まあでも、結果的にはどこかの部隊には入るんだし、どこの部隊に入っても良し悪しはあると思うから、まあ気にしないことだよ」
「そうか。わかったよ亜弥姐」
 元気づけるために榊村が口にした言葉を聞いて、少し心配したよう表情を浮かべていた結城は、吹っ切れた様子を見せ、元気に返事を返したのである。

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