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1999年5月7日(金)

【戦士鍛錬場②:鳥海 新一・柳田 勇一】

「やるなブライト」
「ナナイ、早くきてくれよ」
「イヤーーーーー!」
 模擬戦での好勝負の後、互いに検討を讃えあい、その後に鳥海 新一が漏らした言葉を聞いて、柳田 勇一が瞬時に反応する。その反応に感動した鳥海は思わず奇声を発して、その後2人はピシガシグッグを行った。ここは戦士鍛錬場②。本日は2次試験2日目である。本日から戦士鍛錬場では随時模擬戦が行われており、その模擬戦結果により、各自にポイントが振り分けられている。まだ初日であり、試合数もそこまで多くないのでポイント差もそこまで大きくないが、明らかに上位6人ぐらいは別格のようである。その中に入っている鳥海と柳田は、先ほどお互いに一歩も引かない激戦を演じた挙句、評価としてはほぼドローという結果だったのである。
「ちょっと休憩しようか」
「OK〜」
 休憩の誘いを鳥海が口にし、それに柳田が了承する。2人は一緒にベンチまで歩き、汗を拭ったり、水分を補給したりした。
「意外と女子が強そうやな」
「上位の女子率高いよね」
 ランキング表を眺めながら鳥海が言葉を漏らし、それに柳田が返事を返す。現在のランキングでは鳥海が2位、柳田が3位であり、ポイントが抜けている6位までの他4人は全て女性なのである。1位は鳥海の友人である寺川 紗耶香、4位が山平 僚子、5位が堅田 静華で6位が稲嶺 泰葉という状況である。
「次は1位の寺川とか。俺、知り合いやけど応援するから頑張れな」
「ありがとう。俺はやりますよ」
 次の組み合わせが寺川と柳田であることを確認した鳥海が声援を送ると、それに答えながら柳田はサムズアップを行った。この後、次の模擬戦が始まり、寺川は相手が強くなかったので結構楽に戦えたが、柳田は寺川の素早い動きと鋭い攻撃に翻弄され、良いところなく完敗したようである。

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