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1999年6月30日(水)

【六文銭:菊田 英理・中橋 正憲・植田 康行・川名 佑典・田上 沙由美・松谷 佑紀】
「では初探索の無事終了を祝してカンパーイ」
「カンパーイ」
 私歌が好き部隊の隊長である菊田 英理の乾杯の掛け声を聞いた後で、参加者全員がジョッキを上に上げて乾杯の発声を行った。ここは居酒屋『六文銭』。平日の夜らしく、店内は落ち着いた雰囲気である。20期である私歌が好き部隊は本日初めて第3迷宮を探索した。探索の手順マニュアルに記載された内容に準じて、まずは中央の大きな水たまりに生息する海蛇との戦闘を行う。この海蛇との戦闘次第によって部隊の強さがある程度判別できるとのことだが、4体現れた海蛇に対して、難なく倒すことに成功した。これによって自分たちの部隊の実力についてある程度の自信を持つことに成功する。そしてその後はあまり入り口から離れない場所をうろつきながら数回亜獣と遭遇し、殲滅に成功した。初めて行う亜獣との近接戦闘、呪文詠唱、回復、亜獣探知、罠解除と初回探索で試しておきたいことはある程度実行することができたので、初日の探索に満足し、探索を終了することにした。そして、無事に初回探索を終えた記念と理由をつけて、現在飲み会を開始しているのである。
「今日出会った亜獣はそこまで強くなかったな」
「地下1階だとあんなもんかもっすね」
 戦士である中橋 正憲と植田 康行が、実際に戦った感想を口にする。実際、亜獣と近接戦闘を行ったが、特に慌てるような状況にはならず、冷静に戦うことが出来たのである。
「戦士3人が強いと後衛は安心ですよ」
「この状況が続けばいいですけどねー」
 探索中の感想を僧侶の田上 沙由美が発言し、その後で魔術師の松谷 佑紀も言葉を続けた。後衛の3人は現時点では攻撃手段がないので、戦闘中は戦士3人の補佐的役割である。なので、戦士の強さが後衛3人の安全に直結するのである。
「だってよ。気合い入れて鍛錬せんといかんね」
「頑張るっすよ!」
 ビールのジョッキを一気に開けた後で菊田が発した言葉を聞いて、中橋が気合を入れて返事を返す。この後も本日の探索の話や、今後のスケジュールなどの話で盛り上がり、飲み会は続くのであった。

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