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1999年5月15日(土)

【道:前田 法重・中島 一州・原田 公司・大塚 仁・中尾 智史・本田 仁】
「そういえば20期試験も2次試験終わったようですね」
「どんな若い衆が入ってくるか楽しみだね」
 思い出したように中尾 智史が漏らした言葉を聞いて、中島 一州が返事を返した。ここは居酒屋『道』。本日もたくさんの飲兵衛たちが集まっている。前田 法重と応援団のメンバーもいつものように集まっていつものように宴会を始めている。冒険者組織の20期試験2次試験が昨日で終了し、来週の月曜には合格発表が行われる。そして水曜日からは同じ鍛錬場で一緒に鍛錬を行うことになるので、簡単な歓迎会が行われる予定だ。これは今までに何度も経験してきたことであり、特に1期の冒険者である前田と原田 公司は今回で19回目の新入隊員歓迎となるのである。
「半年早えーよな。19期が入ってきてからもう半年やからな」
 こう言いながら前田はビールをクイっと開ける。
「てか19期って誰たちだったっけ?」
 ビールのおかわりを注文するように本田 仁に目配せをしながら前田が質問する。
「19期はデニムたちですよ。丸山さんとか泰造とか」
「そっかそっかあいつらが19期か。何かわからんようになるな」
 質問に回答した原田の言葉に前田が笑いながら返事をする。すると中島や大塚 仁、本田が何か考えているような仕草をする。
「僧侶の19期って誰だっけ」
「俺も罠解除士の19期がわからんっす」
「19期どころの騒ぎではなくわからんす」
 まだまだ記憶力が怪しくなるような年ではないが、3人とも前回入ってきた19期のメンバーを思い浮かべることが出来ないようである。
「ちゃんと若手の育成を頼みますよ」
 自分もわからなかったことを棚に上げて、若手の状況を把握していない3人に忠告をする前田であった。

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