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1996年4月30日(火)《BN》

【冒険者組織試験場:山口 可奈・太田黒 佳美・小林 みゆき・古川 美穂】
「それでは受験者の皆さんは各職業に分かれての説明を行いますので、10分休憩を挟んだ後で教官と一緒に移動します。休憩が終わったら戦士はあそこの小林のところに、僧侶はあそこの古川のところに、魔術師はあそこの太田黒のところに、そして罠解除士は私のところに集合してください」
 受験者全員を見つめながら山口 可奈がこのように説明し、一旦休憩時間に入る。各受験者たちはトイレに席を立つものや、持参した飲み物で喉を潤している者もいる。全ての受験者に言えることはやはりこの初めの合同説明会を受けただけで結構緊張したらしく、相当な疲労感を感じているようである。でもそれは教官4人も同じであり、表情には出さないが4人とも結構疲労感を感じているのである。
「可奈お疲れ。流石慣れたもんだったわね」
「いやー、久しぶりすぎて私でもちょっと緊張したわよ」
 軽い口調で声をかけてきた太田黒 佳美に、軽い笑顔を浮かべながら山口 可奈が返事を返した。冒険者組織創設当初、入隊試験は冒険者組織で行われており、その当時から長官であった山口や太田黒が試験監督を務めていた。だが、4期試験から2次試験をゼーレで行うようになり、山口と太田黒は入隊試験に関わることは無くなった。そして13期試験から再度冒険者組織で行うことになったのだが、13期試験は教官ではなく、先輩冒険者たちに試験運営を依頼したのである。もちろん今行ったオリエンテーションなどは一緒に行ったのであるが、13期の時はあくまで冒険者たちがメインだったので、山口は司会役に徹しており、他の教官たちもあくまでも補佐役に徹していたのである。そうこうしているうちに10分が経ち、冒険者たちが各長官の元へ集合する。そして準備ができた職業から順番に、各職業の鍛錬場へと向かうのであった。

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