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1999年7月10日(土)

【道:前田 法重・中島 一州・原田 公司・大塚 仁・中尾 智史・本田 仁】
「そろそろ新しい迷宮見つからんかなあ」
「第3迷宮発見から1年以上経ってますからね」
 ジョッキのビールを一気に開けた原田 公司が口にした言葉を聞いて、中尾 智史が同意するように返事を返した。ここは居酒屋『道』。本日もたくさんの客が美味しいお酒と料理を楽しんでいる。前田 法重とオプションのメンバーたちもいつものように宴会を行っている。熊大迷宮は現在第3迷宮までが発見されており、それ以外の迷宮も存在することは間違いないとの判断がされている。黒髪てへトリオ部隊は、1996年に第2迷宮をクリアしているので、それ以降約3年もの間、地下6階の鏡の間で出現した亜獣を狩るだけの探索となっているのである。これは第1迷宮をクリアした後も同じような状況であったが、1993年にクリアして、第2迷宮が発見されたのが1995年だったので、こちらは約2年しか経っていないのである。
「まだ全然わからないって谷口が言ってましたよ」
「どーれだけまてばいいのですかー」
 次の迷宮の調査進捗について谷口 竜一から話を聞いていた大塚 仁が現在の状況を説明し、これを聞いて原田が名曲のワンフレーズを口ずさんだ。
「こればっかりは俺らではどうしようもないしね」
「まあでもあまり危険もないし、十分以上の金はもらってるし、こうやって酒も飲めるし、これはこれで良いんじゃないかな」
「前田さんにとっては天国かもしれないですね」
 新しい迷宮の発見については自分たちでは何もできないことを中島 一州が口にし、その後で前田が今の現状についての自分の感想を述べる。地下6階の鏡の間はたまに檄強い亜獣も出現するが、苦戦するほどではないので、お金儲けの作業だと割り切れば悪い仕事ではない。家族で暮らすのに十分以上の給金は貰っているし、こうやって美味しいお酒も飲めるのである。なので前田にとっては今の現状はそこまで悪いわけではなく、別に新しい迷宮が発見されなくても良いとまで感じている。この気持ちを汲み取った本田は、この状況が前田にとっては理想的なのではないかと感じたので、思わず言葉を漏らした後で、大きなため息をついたのである。

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