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1999年5月22日(土)

【道:前田 法重・中島 一州・原田 公司・大塚 仁・中尾 智史・本田 仁】

「まあ私のお眼鏡に適う子はいませんな」
「相変わらず厳しいお眼鏡でこってす」
 真剣な表情で発した本田 仁の言葉を聞いて、大塚 仁が速攻で突っ込みを入れた。ここは居酒屋『道』。本日もたくさんの客が所狭しと飲み会を行っている。前田 法重とその他大勢のメンバーもいつもの席で宴会を行っており、すでに全員結構良い感じに酔っ払っている。今週から20期のメンバーが冒険者に加わり、各鍛錬場はこの時期特有の活気ある雰囲気になっている。毎日ほぼ同じメンバーとの出会いしかないので、新規冒険者が入ってきた時はそれなりに鍛錬場が盛り上がるのである。特に男性冒険者たちは可愛い女性冒険者が入ってくるとテンションが上がることも多く、年に2回の新規募集について楽しみにしている者もいるのだ。ただ、現在ここで宴会中の6名のうち、本田以外の5名はすでに結婚している。なので新規冒険者の異性が気になるのは本田1人という状況なのである。そこで原田 公司が20期の女性魔術師について本田に質問したが、その回答は冷静なものであった。
「とはいえ普通に可愛い子だと思いますよ。20期の魔術師は2人なんですけど松谷さんと中崎さん。だったかな。松谷さんはなんとなく富田さん好みで中崎さんは福田さん好みだと思います」
 自分の好みではなかったが、一般的には可愛い部類であると本田がフォローする。そして、女性のイメージも誰かの好みという言葉を引用して説明したのである。
「お前ら良く誰だれの好みって言葉使うけど、具体的にどういうことなの?」
 素朴に感じた前田が質問を返す。それに対して本田がすぐに返事を返した。
「あ、富田さん好みっていうのはいわゆるロリって感じですね。ロリの殿堂ですからね。あと福田さん好みっていうのは眼鏡をかけている子になります」
「えー、眼鏡かけてれば誰でも良いってわけじゃないでしょう」
 真面目に聞いていた中島 一州だったが、疑問に思ったことを質問してみる。
「いや、眼鏡かけてれば良いのだと思いますよ。何なら眼鏡が本体でも良いんじゃないですか」
「怒られますよ」
 調子良く言葉を並べる本田に対して、中尾 智史が軽く突っ込みを入れた。ここにはいないと言え、福田 清人は本田の1つ先輩であり、今の発言は少し礼を失していると判断したのである。 

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