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1996年7月15日(月)《BN》

【新迷宮:黒髪てへトリオ部隊】
「O-157ね」
「Oは考えなくもなかったっす」
 鏡から出現した4体の亜獣を見て、少し笑いながら前田 法重が発した言葉に、原田 公司が返事を返した。ここは新迷宮。黒髪てへトリオ部隊は本日も地下6階の鏡の間を訪れている。先週の訪問から1週間がすぎ、その間にいろいろなことを話したり行動したりしている。そしてこの鏡の間から出現する亜獣は、直近で話したり考えたりした物が具現化することが多く、本日も1回目の亜獣出現から、全員がある程度の予想をしながら臨んだのである。その中で、先日『道』で話をしたO-157についても可能性として考えたが、O-157自体は大腸菌なので鏡から出現するはずないと考えていたのである。ただ、Oの部分は現在のダイエーの王監督を想像できたので、王監督が出てくる可能性は考えなくもなかったのである。すると王監督は予想通りだったが、157の部分は予想が足りなかったようだ。出てきた4体の亜獣の内1体はダイエーのユニフォームを着た王監督であり、残り3体は巨人のユニフォーム背番号1を着た若い頃の王監督と、背番号5を着けた清原選手、それと背番号7を着けた吉村選手である。もちろんこれは具現化した亜獣なので、本人とは全く関係がない。
「でも、まあ、倒しますか」
「清原選手が強そう」
 戦闘開始の合図を前田が口にし、それを聞いて中尾 智史が感想を口にする。この後、本田 仁はTNT爆発、中島 一州は無効を唱えて戦闘が始まる。大方の予想通り清原選手だけがかなり強く、2人の王選手と吉村選手はそこまで強くないようである。
「中尾、危ない!」
 吉村選手を相手にしていた中尾に清原選手が走って近づき、中尾にジャンピングニーを炸裂させる。原田の叫びで一瞬体を動かせた中尾は、致命傷を喰らうのは避けたが、かなりのダメージを負ったようだ。この後はなんとか先にダブル王選手と吉村選手を殲滅させ、前田と原田の2人がかりで清原選手と相対する。流石にこの2人相手では清原選手もきついようであり、程なく消滅したのである。
「物質回収します。ジャンピングニー美しかった」
 プロレス大好きの大塚 仁が声をかけ、物質回収に向かう。前田と原田が部隊の場所に戻ると、まだ中尾は中島 一州に回復してもらっていた。この後、ある程度中尾のダメージが回復できたのがわかったので、戦闘を継続することにし、大塚が鏡の罠の解除を始めたのである。

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