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2024年5月18日(土)《GB》

《お酒は20歳になってから。これって法律で決められてるけどダメな理由がわからない。》
【いわ幸:道下 茂雄・有村 藤花・薮内 眞美・谷内 裕人・桐山 愛】
「それでは70期の罠解除士として親睦を深めましょう。カンパーイ!」
 本日の飲み会の企画者かつ幹事である道下 茂雄が大きな声で乾杯の挨拶をし、その後全員で乾杯と叫んだ。ここは居酒屋『いわ幸』。土曜日ということもあり、店内には多くの客が訪れている。今週から無事に冒険者となり、一緒に切磋琢磨している70期罠解除士たちであるが、早めにもっと親睦を深めたいという理由で道下が飲み会を企画したのである。今期の罠解除士は道下と有村が2回生であり、他の3人は1回生である。それもあり、道下がこの期の魔術師の中心となっているのである。ちなみにこの世界では1997年に飲酒喫煙に関する法律が改正され、飲酒喫煙できる年齢が馬券が買える歳から、パチンコが打てる歳に引き下げられた。いわゆる高校生および18歳未満はお断りということだ。この法律ができる前も高校を卒業したら普通にタバコを吸ったりお酒を飲んだりしていた。だが、それはあくまでも法律には違反していたので、本来は好ましくなかったのである。それが堂々と飲んだり吸ったり出来るようになったのであるが、最近はタバコを吸う人自体が激減し、お酒も飲まない人が一定数いるようである。
「藤花さん。飲んでますか〜」
「私はあまり飲まないよ」
 頬を赤くして少し寄っている感じの薮内 眞美が声をかけてきたので、有村は冷静に返事を返す。飲めないわけではないが、ある一定量のお酒を飲むと、その日の夢に影響してしまうのである。そのことがわかってからは、最初の1杯だけ付き合い、その後はソフトドリンクを飲むことにしているのだ。
「何か藤花さんかっこいいです」
「大人の女性って感じですね」
 お酒を飲まずに冷静に場に対応している姿を見て桐山 愛が感想を述べて、それに谷内 裕人も言葉を続けた。1つ年上でもあるし、冷静な感じが素敵に見えたのであろう。ただ、有村から見れば、お酒を飲んで楽しい話をしながら笑っている薮内や桐山が非常に可愛く見え、女の子としてはそちらの方が良いのではないかと思わなくもない。だが、お酒をたくさん飲んで、キャッキャキャッキャはしゃいでいる自分の姿を一瞬想像して嫌になったので、有村は考えるのをやめたのである。

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