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1996年4月15日(月)《BN》

【道:前田 法重・佐々木 雅美・原田 公司・富田 剛・中尾 智史・本田 仁】
「それでは我らが隊長前田さんの退院を祝してカンパーイ」
「カンパーイ」
 いつも以上に元気な原田 公司の乾杯の挨拶の後で、全員がジョッキを上に上げて乾杯と叫び、その後ジョッキをぶつけ合った。ここは居酒屋『道』。本日もたくさんの客が訪れている。本日熊大病院を退院した前田 法重は、久しぶりに戻った我が家で掃除や洗濯などをひとしきり行い、18時過ぎの時間になって『道』に移動する。前田が『道』の入り口を開けると、参加メンバーはすでに集合しており、前田がいつもの席に座ると同時に飲み会がスタートしたのである。
「いやー、自分でも思ったより早く回復したんで良かったよ」
「前田さんは化け物なんですよ。って富田さんが言ってました」
 入院明けとはとても思えないペースでアルコールを消費しながら前田が発した言葉に、本田が軽く返事を返す。本田のこの言い回しに対していつもであれば富田 剛がすぐに突っ込むのであるが、今回突っ込まないところを見ると、本当に言っていたのであろう。それに気づいて前田は思わず笑ってしまう。
「ところで、怪我も治ったから1週間でカンを取り戻して、来週は探索予定だけどみんな良いよね」
 この言葉に対して、全員が賛同するも、佐々木 雅美だけは少し心配な表情を浮かべている。
「佐々木さん心配しなくても大丈夫ですよ。攻撃は全部原田さんと中尾くんが喰らってくれます」
「俺も喰らうんですか?」
 佐々木を安心させようと発した富田の言葉に中尾 智史が思わず突っ込みを入れる。原田は喰らう人なので喰らうことはいつものことであるが、中尾は喰らう人ではないのだ。
「まあ原田と中尾に護ってもらうほどもうろくはしてないと思うから多分大丈夫。来週までには完全復活するよ」
 このように言葉を発した前田の笑顔を見て、佐々木は少し安心し、前田を含め酒が空いているメンバーの追加を本田に依頼するのであった。

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