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1996年5月27日(月)《BN》

【新迷宮:黒髪てへトリオ部隊】
「ここが地下6階」
「不思議な空間ですね」
 階段を降りてすぐに原田 公司が発した言葉に、中尾 智史も感想を続けた。ここは新迷宮。黒髪てへトリオ部隊は先週クリアした地下5階の空間から地下6階へ降りる階段を見つけ出した。そして大塚 仁が階段の罠を解除して、地下6階に降りて来たのである。降りて来てまず感じたのは空気の冷たさであり、1階から5階の空間に比べると明らかに気温が低く、少し寒気を感じる。また、大塚 仁がエリア全体の気配探知を実施するが、このエリアには亜獣が存在しないとの結果となる。
「なんなんだろうね」
「単なる物置とかだったら笑いますけどね」
 この階に亜獣が存在しないということに対して中島 一州が疑問を述べ、それに対して本田 仁が返事を返した。本日は新迷宮の探索に入る前に、先日話していた中島が新迷宮に入れるのかどうかというのを試している。結果として中島は新迷宮に入ることができたので、本日から黒髪てへトリオ部隊と一緒に探索を行っているのである。新迷宮では今まで使用していた装備は使用できないので、佐々木 雅美から僧侶の装備一式は引き継いでいる。なので、まだ中島はレベル的には圧倒的に足りてないが、装備的には十分なものを装備しているのだ。
「とりあえずこの鏡以外のものはこの部屋にはなさそうです」
 先程から部屋の隅々までを調べていた大塚がこのように報告する。それを聞いて前田が口を開く。
「何もない部屋なのかね。大塚、一応あの鏡も調べてもらっていいかな」
「わっかりましたー」
 こう言いながら大塚は鏡に近づいていく。そして鏡をいろいろ調べていくと、1つ1つの鏡に何かしらの罠がかかっているのがわかる。そのことを報告すると、試しに1つ解除してみてとの指示だったので、大塚は鏡の罠を解除してみせた。すると鏡の中から何かが出現する。
「ヒャッハー、ここは通さねーぜー」
 出現したので、旧迷宮地下1階でお馴染みの骸骨である。もちろん出現したと同時に瞬殺されたのは言うまでもない。
「罠を解除したら亜獣が出てくる感じかな」
「何で骸骨出て来たんでしょうね。まさか全部骸骨ってわけはないでしょうけど」
 今の状況を判断した中島の声に、中尾も意見を述べる。いろいろ考えていても結局わからないので、再度鏡の罠を外すことする。結果この日は6階鏡の罠を外し、6階亜獣と戦闘を行った。これで推測できたことはおそらくこの鏡から出てくるのは旧迷宮と新迷宮に存在する亜獣のいずれであろうということである。

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