2024年11月9日(土)《GB》
《年を取るのは〜素敵なことでっす〜♪と昔誰かがうたってたなあ。年を取りすぎるのは素敵ではない》
【茜どき:立石 啓二・富田 剛】
「結婚式はありがとうな」
「いや、良い結婚式やったよ」
ビールを喉に流し込んだ後で富田 剛が発した言葉に、立石 啓二は笑顔で返事を返した。ここは居酒屋『』。本日立石と富田は八代でお酒を酌み交わしている。今日飲んでいる理由は年に2回の競馬大会を翌日に行う予定であり、本日は飲むだけ飲んで八代に1泊する予定にしている。そして明日の朝から日奈久にある『ウインズ八代』に移動し、丸一日競馬を楽しむ予定としているのだ。中学時代からの友人である2人は住んでいる場所が離れていることもあり、近年はそんなに頻繁に会うことはなくなっている。年2回の競馬と忘年会、後は立石が熊本の街で飲む用事ができた時に富田を誘う程度である。だが今回は先週富田の娘である富田 穂樽の結婚式が行われ、そこに立石家も参加してくれたので、1週間ぶりの久しぶりとなるのだ。
「でも穂樽に子供産まれたらいよいよおじいちゃんだよ」
「まあおい達も年齢的にはおじいちゃんやけんな」
軽くため息を吐きながら富田が発した言葉に立石が仕方がないという表情で返事を返す。別におじいちゃんになるのが嫌というわけではないが、何か一気に老け込んでしまいそうな気がする。まだまだおっさんとして頑張るつもりだが、おじいちゃんとなると頑張れないかもしれない。ちなみに立石の娘の立石 麗奈はまだ中学3年生なので、立石がおじいちゃんになるのはまだまだ先の話である。
「ところで結局麗奈ちゃんは済々黌受けるんね」
急に思い出したように富田が立石の娘の麗奈についての質問を口にする。夏あたりに聞いた話では校区外で済々黌を受験するという話をしていたのだ。
「そおやね。何か受けるみたい。まあ共通テストの点数だけ見れば受からんことはないって言われてるし」
質問に対して立石が返事を返す。中学3年生は受験の志望校を判断する共通テストというものが行われており、この点数が受験する志望校の選択に大きく影響するのである。
「そっか、で、もし済々黌受かったらどうするの?立石くんの実家から通うの?」
「うーん、そいが1番現実的やけど、ちょっとおいんちからは通いにくそうだけん考えてる」
立石の実家は上熊本駅方面の山の上にあり、長い坂を登り降りしないといけないので、自転車で通学するのは少し厳しそうなのである。
「もしあれだったら家に下宿してもいいよ。穂樽の部屋が空いてるから」
「え?まじで。それは助かるっちゃー助かるかも」
済々黌に通う場合の提案を富田が口にし、立石はそれを聞いて前向きな返事を返した。富田が住んでいる『AXIS』2階からは済々黌はあまり遠くなく、実際に長男の富田 正継と次女の富田 穂樽も済々黌に通っていたのである。この話はいったんそのようなパターンもあるとして話題を終え、この後は明日の競馬の話題で盛り上がることにした。そしてこの店を出た後は立石の行きつけのバー『クラブNeo』で飲み直すことにする。散々飲んで歌ってこの店を出た後は千鳥足でホテルに戻り、ホテルの部屋でまだまだ遅くまで飲み明かすのであった。